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ヴァルター・ベンヤミン/グレーテル・アドルノ往復書簡 1930-1940

著:ヴァルター・ベンヤミン
著:グレーテル・アドルノ
他訳:伊藤 白

紙版

内容紹介

20世紀の知的アヴァンギャルドとして輝きを放ちつづけるベンヤミンと、やがて彼の盟友テオドーア・アドルノの妻となるグレーテル。二人が交わした180通の書簡を集成する。
「わたしは子供を産むことはないでしょうから、あなたを養子にします」(グレーテル、1933年)。
ナチ党の政権奪取後、グレーテルは亡命したベンヤミンを文通と送金によって精神的、経済的に支えつづけた。
ベンヤミンはグレーテルに、読書や執筆の計画、アイデアを書き送った。困窮、孤独や不安も隠さなかった。実現しなかった企画、掲載されなかった原稿、もつれる人間関係……手紙には、研究対象を追い求める不器用なベンヤミンの姿が表れる。「早くお返事をください。あなたがいてくださることを、今またとても必要としています」(ベンヤミン、1939年)
戦争勃発後、行き場をなくしたベンヤミンは死の数か月前、20年間の突破口である考えを書きとめた、それをあなたに手渡したいという意図を、グレーテルに伝えた。のちに「歴史の概念について」と呼ばれるテーゼである。
本書は、ベルリンのユダヤ知識人コミュニティの残照を記録し、またベンヤミンが「パサージュ論」やさまざまな原稿を執筆した状況を伝える歴史・思想史上の証言である。秘密の情熱を絶やさないままに、試練に鍛えられた男女の友情の稀有なドキュメントが、困難の中で人間のつながりとは何かを照らし出す。

目次

ヴァルター・ベンヤミン グレーテル・アドルノ往復書簡 1930-1940

編者あとがき
訳者解説  ベンヤミンの命を救った手紙
文献の省略表記一覧
人名索引

著者略歴

他訳:伊藤 白
1976年山口生まれ。専門はドイツ文学。国立国会図書館を経て現在、学習院大学文学部准教授。著書に『トーマス・マンの女性像 自己像と他者イメージのあいだで』(彩流社、2014)、翻訳に『ドイツ図書館入門 過去と未来への入り口』(日本図書館協会、2011)、『ヴァルター・ベンヤミン/グレーテル・アドルノ往復書簡 1930-1940』(共訳、みすず書房、2017)など。

ISBN:9784622079897
出版社:みすず書房
判型:A5
ページ数:416ページ
定価:7800円(本体)
発行年月日:2017年11月
発売日:2017年11月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DND