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絵のなかの物語

文学者が絵を読むとは

編著:庄司 宏子

紙版

内容紹介

文学は同時代の視覚をめぐる文化的・社会的な環境とどのように関わり、参与してゆくのか。英米、ドイツ、日本と領域の異なる文学研究者が、19世紀の英米の図版、世紀末ウィーンのクリムトから20世紀イギリスのモダニズム絵画、さらに日本の平安時代の絵巻から現代日本のマンガを題材に、視覚的表象と文学言語とのインターテクスチュアリティを問い直し、視覚文化論の可能性を探る。

目次

序論 文学からの視覚文化論に向けて (庄司宏子)

第 I 部 歴史のなかの絵画

第1章 顔と服装と人種 (富山太佳夫)
 イギリス人は異人種をどう描いたか
 一 顔の色、肌の色──大英帝国のなかの人種
 二 絵画に描かれた人種──人種差別の記号
 三 観相術──人種の顔から国民の顔へ
 四 写真──動く体、動く表情
 五 「黄色い人」とは誰か?

第2章 〈沈黙した身体〉を視るまなざし (庄司宏子)
 一九世紀視覚文化の一考察
 一 シンパシーのまなざし
 二 シンパシーとメスメリズム
 三 視覚のテクノロジーの登場──観相学、催眠、麻酔、写真術(ダゲレオタイプ)
 四 トマス・イーキンズの手術絵とアウラなき身体──〈沈黙した身体〉の変容

第 II 部 文学と絵画──アール・ヌーヴォーからポストモダンへ

第3章 世紀末ウィーンの思想と芸術 (三浦國泰)
 グスタフ・クリムトの幻の絵画をめぐって
 一 ウィーンの都市改造と建築様式
 二 学部寓意画《哲学》
 三 学部寓意画《医学》
 四 音楽的間奏と学部寓意画《法学》
 五 「絵画と文学との限界論」とクリムトの絵画──あるいは世紀末ウィーンにおけるポストモダンの胎動

第4章 〈目の失敗〉の物語 (阿部公彦)
 ウォレス・スティーヴンズとハワード・ホジキン
 一 私たちは見ることが下手なのか?
 二 スティーヴンズと目の作法
 三 「雪の男」のぎらぎらさ
 四 線の画家たち──ハワード・ホジキンを中心に

第 III 部 物語の絵画化

第5章 絵で語るということ (木谷眞理子)
 信貴山縁起絵巻について
 一 旅の絵
 二 未知の力
 三 尼公の巻の絵を読む
 四 鑑賞者の関わり

第6章 『源氏物語』のマンガ化 (山田利博)
 古典をマンガ化するとはどういうことか
 一 本章が対象とする作品について
 二 牧美也子『源氏物語』
 三 大和和紀『あさきゆめみし』
 四 「カノン」(?)としての『あさきゆめみし』
 五 源氏マンガ研究の今後

 あとがき
 人名・事項作品名索引

著者略歴

編著:庄司 宏子
1961年生まれ。お茶の水女子大学大学院博士課程人間文化研究科比較文化学専攻単位取得。現在、成蹊大学文学部教授。専門はアメリカ文学。
主な論文・著書に、「もう一つのアメリカ・ルネサンス――マーガレット・フラーとボストンの超絶主義的女性たち」『成蹊大学文学部紀要』(2013年)、『かくも多彩な女たちの軌跡』(共著、南雲堂、2004年)、『病と文化』(共著、風間書房、2006年)、『アメリカン・テロル』(共著、彩流社、2009年)、『グローバル化の中のポストコロニアリズム』(共著、風間書房、2013年)、ほか。

ISBN:9784588490309
出版社:法政大学出版局
判型:4-6
ページ数:264ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2013年06月
発売日:2013年06月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DSA