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皮膚

文学史・身体イメージ・境界のディスクール

著:クラウディア・ベンティーン
訳:田邊 玲子

紙版

内容紹介

皮膚(身体)が文化的構築物であるという観点は、フーコー以来の共通理解となっている。本書はそれを立脚点に、言語、歴史、ジェンダー論、言説分析、精神分析などさまざまな分野と方法論を縦横無尽に動員し、聖書、慣用句、文学作品、芸術論、科学の理論といった言語資料、解剖学図版・模型、絵画や現代アートなどの図像的なものを駆使して、17世紀から現代にいたる皮膚観のパノラマを展開する。

目次

 日本語版への序文

1 表面の深部――序論

2 境界のメタファー――言葉のなかの皮膚

3 侵入――医学と文化の実践における身体の境界と知の産物

4 脱皮――皮剥ぎ、拷問、メタモルフォーゼ

5 魂の鏡――カンヴァスとしての表皮

6 謎となすこと――皮膚の他者性

7 鎧の皮膚と母斑(ムッター・マール)――ある性差のイメージ体系

8 異種の皮膚――皮膚の色の科学史および文学史

9 ブラックネス――アフリカ系アメリカ人の言説における皮膚の色の問題性

10 手と皮膚――皮膚感覚の人間学と図像学

11 接触――エロティックな、エモーショナルな、〈心的な〉、皮膚感覚の類似性について

12 遠隔触覚(テレタクティリティ)――ニュー・メディアにおける皮膚

13 おわりに

 註記
 訳者あとがき
 文献一覧
 事項索引
 人名索引

著者略歴

著:クラウディア・ベンティーン
(Claudia Benthien)
1965年生まれ。ドイツおよびアメリカで心理学、ドイツ文学、アメリカ研究、美術史、文化研究等を学び、1998年にベルリンのフンボルト大学で博士号を取得。その博士論文で「ヨアヒム・ティブリウス賞最優秀賞」を受賞。その後、2004年に大学教授資格を取得し、2005年よりハンブルク大学のドイツ文学(重点領域ジェンダー論、文化理論)の教授に就任、またアメリカで客員教授をつとめ、イギリス、フランスに研究滞在するなど、活動の場は国際的である。17世紀から21世紀のドイツ文学を中心に、アメリカ文学、西欧文学、現代演劇と現代アート、美術などを関心領域におさめ、学際的視座から精力的に研究を進めている。
著書は多数あるが、単著に、Barockes Schweigen. Rhetorik und Performativitat des Sprachlosen im 17. Jahrhundert(München: Fink, 2006), Tribunal der Blicke. Kulturtheorien von Scham und Sch…
訳:田邊 玲子
1955年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語ドイツ文学専攻)中途退学、ミュンヒェン大学、フランクフルト大学に留学。名古屋大学総合言語センター助教授を経て、現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は、ドイツ文学、ジェンダー論。
著書にSchöne Körper. Zur Erotik des Blicks in der deutschen Literatur Mitte des 18. Jahrhunderts. (Königstein/Taunus: Ulrike Helmer Verlag, 2003), 論文に「一八世紀ドイツにおける美・欲望・ジェンダーをめぐる言説」(姫岡とし子・川越修編『ドイツ近現代ジェンダー史入門』青木書店、2009年所収)、翻訳にレッシング作『エミーリア・ガロッティ/ミス・サラ・サンプソン』(岩波文庫、2006年)などがある。

ISBN:9784588352294
出版社:法政大学出版局
判型:4-6
ページ数:434ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2014年05月
発売日:2014年05月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHB