日本史学のフロンティア 2
列島の社会を問い直す
編:荒武 賢一朗
編:太田 光俊
編:木下 光生
紙版
内容紹介
日本史学が蓄積してきた研究は、豊かな土壌を形成する一方で、「通説」という枷をも生み出した。「通説」を再生産しながら細分化する研究のありようを克服するには、研究史と時代認識を疑い、見過ごされてきた小さな史実を丹念に掘り起こさなければならない。土地制度や資源利用のあり方など、社会の基盤をなす時代と地域の特殊性にまなざしを向け、「通説」に縛られた歴史像に楔を打ち込む、先鋭的な論集(全2巻)。
目次
第二巻
序章(荒武賢一朗・太田光俊・木下光生)
第一部 社会秩序の構築
古代中世における自然大災害と社会の転換(市村高男)
──復旧・復興過程に着目した視点の提示
中世仏教史の〈分水嶺〉(大田壮一郎)
──ポスト「顕密体制」を探る
〈障害者〉への眼差し(高野信治)
──近世日本の人間観という観点から
商人と権力が交差する都市(荒武賢一朗)
──近世後期の大坂を事例として
土地丈量からみる近世・近代の土地把握(矢野健太郎)
第二部 生業と資源利用
江戸時代における百姓生業の多様性・柔軟性と村社会(平野哲也)
近世後期における災害と資源利用(高橋陽一)
──飢饉と温泉
漁業史研究と水産資源変動(高橋美貴)
──資源保全史の再考から環境史研究へ