出版社を探す

ものと人間の文化史 171

鱈(たら)

著:赤羽 正春

紙版

内容紹介

日本海での鱈漁業が本格化する16 世紀から今日まで、漁場開拓の歴史と漁法や造船技術、漁民たちの暮らしの変遷を跡づけるとともに、応仁の乱以降の戦国時代から第二次世界大戦まで、戦時の非常食・保存食として鱈(マダラ)と鯳(スケトウダラ)が果たした役割を明らかにする。海洋資源の枯渇が問題視される現在、鱈をテーマに「海はどれほどの人を養えるか」についても考える問題提起の書。

目次

序章 人類の食べ物
 1 人は何を食べてきたか
 2 命がけの漁撈
 3 鱈という魚
 4 人を養う鱈

第一章 鱈の発見
 1 鱈と武家
 2 中世の日本海と鱈場
 3 小縄、延縄による釣漁
 4 川舟衆と川崎衆
 5 鱈と鱪漁
 6 北地の鱈漁

第二章 北進する漁人
 1 出稼ぎ漁業
 2 慶長年間の朝鮮鱈
 3 日本海と鱈
 4 佐渡と真鱈、鯳
 5 日本海中部海域から北へ
 6 北海道移住
 7 北方開拓

第三章 鱈延縄と川崎船
 1 生息域と漁場
 2 延縄
 4 鱈船、小早漁船、川崎船

第四章 戦争と鱈
 1 鱈と北洋
 2 占守島と報效義會
 3 朝鮮通漁
 4 富山県水産講習所の鱈漁業試験
 5 能登半島の鱈製品

第五章 鱈の食文化
 1 武家の鱈料理
 2 陣中食、戦闘食、保存食
 3 鱈の郷土料理
 4 擂り身
 5 ヨーロッパの鱈料理

第六章 鱈と文芸
 1 松尾芭蕉
 2 与謝蕪村
 3 小林一茶
 4 食の鱈
 5 落語「棒鱈」
 6 ふるさとの文学

第七章 鱈と祭祀
 1 「鱈まつり」
 2 「寒鱈まつり」の広がり
 3 棒鱈への信仰

終章 人を扶け続けた鱈
 1 鱈養殖漁業
 2 人の生存を保障する技術

あとがき

著者略歴

著:赤羽 正春
1952年長野県に生まれる。明治大学卒業、明治学院大学大学院修了。文学博士(新潟大学)。
著書:ものと人間の文化史103『採集──ブナ林の恵み』、同133『鮭・鱒』Ⅰ・Ⅱ、同144『熊』、同161『白鳥』、『樹海の民──舟・熊・鮭と生存のミニマム』(以上、法政大学出版局)、『日本海漁業と漁船の系譜』(慶友社)、『越後荒川をめぐる民俗誌』(アペックス)。
編著:『ブナ林の民俗』(高志書院)。

ISBN:9784588217111
出版社:法政大学出版局
判型:4-6
ページ数:336ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2015年07月
発売日:2015年07月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNAF