尊厳概念のダイナミズム
哲学・応用倫理学論集
編:加藤 泰史
内容紹介
《尊厳》とは何か。価値論的なアプローチと「人間の尊厳」そのものの問い直しから、尊厳概念の理論的基礎を構築する。さらには、生命倫理、ヒト胚、再生医療、ゲノム編集、尊厳死、介護、環境倫理、障碍者の権利、ワークライフバランス、ロボットの尊厳まで、哲学と応用倫理学の内外の研究者による最先端の議論を通して、多元化する「尊厳概念」と様々な「現場」をダイナミックに架橋する。
目次
編者序文(加藤泰史)
第Ⅰ部 哲学編
第1章 哲学的価値理論のオプション(ゲアハルト・シェーンリッヒ/高畑祐人 訳+解題)
第2章 自律と承認(加藤泰史)
第3章 単に生き延びることから、人間の尊厳にふさわしく生きることへ──ジャン・アメリーに続いて考える(アルント・ポルマン/吉田量彦 訳+解題)
第4章 「尊厳」概念の意味と機能をめぐる生成論と形而上学的観点からの考察(宇佐美公生)
第5章 人間の尊厳と自然の尊厳が意味するもの(品川哲彦)
◎コラム1 尊厳概念の前近代的な諸源泉──「神の似姿」のキリスト教的観念と古典的人文主義(上野大樹)
◎コラム2 マックス・シェーラーにおける人格価値(横山 陸)
◎コラム3 カントとカント派教育学における「教育」と「尊厳」(柳橋 晃)
第Ⅱ部 応用倫理学編
第6章 生命倫理における人間の尊厳(ディーター・ビルンバッハー/忽那敬三 訳/高畑祐人 訳+解題)
第7章 象徴としてのヒト胚──日本のヒト胚政策における〈人間の尊厳〉概念に関する一考察(岩佐宣)
第8章 日本のES細胞研究ガイドラインと人の尊厳(小林道太郎)
第9章 ヒトの生殖細胞を対象とするゲノム編集技術の応用に関する倫理的検討──中山大学の実験に対する中国の倫理学議論の批判的考察 (魏偉)
第10章 介護の文脈における人格の自律、依存性そして尊厳(ミヒャエル・クヴァンテ/瀬川真吾 訳+解題)
第11章 尊厳ある死?──日本における患者の事前指示の個人的解釈と社会的現実 (チェリア・シュポーデン/高畑祐人 訳+解題)
第12章 人間の尊厳と自然の価値(ディーター・シュトゥルマ/山崎達也 訳+解題)
◎コラム4 企業社会ニッポンの時間政策とは?──日本的視座における「ワークライフバランス」(中澤 武)
第13章 人間の尊厳と障碍(ラルフ・シュテッカー/中澤 武 訳+解題)
第14章 ロボットのための人間と同等の尊厳?(ゲザ・リンデマン/桐原隆弘 訳+解題)
編者あとがき(加藤泰史)
事項索引
人名索引
執筆者・訳者紹介