叢書・ウニベルシタス 600
パンと競技場
新装版
ギリシア・ローマ時代の政治と都市の社会学的歴史
著:ポール・ヴェーヌ
訳:鎌田 博夫
紙版
内容紹介
古代ギリシア・ローマにおいて、皇帝をはじめ支配者・有力者が市民に無償でパンを配給し、競技会や演劇を提供し、都市に建造物を寄贈したという「恵与」の事実を中心に、その時代の政治体制の特色、政治家の条件と精神構造、市民生活の変貌等々を人文科学的方法論から明らかにする、厖大な古代歴史絵図。アナール学派第三世代を代表するヴェーヌの主著。
目次
緒言
第一章 主体と行為
一 ローマ社会における寄付──小史
二 恵与指向とは何か
三 寄付する鷹揚さ
四 不変要素と変化
五 恵与指向とキリスト教的慈善
六 「再配分」
七 寄付の社会学
八 「パンと競技場」
九 「誇示的消費」
一〇 ヘレニズム時代およびローマ時代の都市
一一 有力者体制
一二 仕事、暇
一三 恵与指向と資本主義精神
一四 豪勢な出費の経済的分析
第二章 ギリシア人の恵与指向
一 恵与指向以前──古典期アテナイ
二 有力者の寡頭制
三 恵与の起源
四 ヘレニズム時代における恵与指向──概観
五 事実の詳細
六 妬み、正当化、社会的格差
第三章 ローマにおける共和主義的寡頭政治
一 寡頭政治の政府
二 なぜ高官は競技会を提供するのか
三 象徴的な贈り物
四 選挙の「買収」
五 政治的にして非社会的な恵与指向
六 国費パンと道徳的秩序
七 国家的庇護
第四章 皇帝とその首都
一 自律と他律
二 服従または世論
三 主観的権利による君主
四 皇帝の神格化とカリスマの概念
補遺 神々──博物学か現象学か
五 皇帝は所有者で保護者か
六 君主の恩恵
七 イデオロギーは何の役に立つか、どのように信じられるか
八 威光の表現
九 「競技場」と政治化
訳者あとがき
原注
索引