叢書・ウニベルシタス 134
世の初めから隠されていること 〈新装版〉
著:R.ジラール
訳:小池 健男
内容紹介
前著『暴力と聖なるもの』において、すべての社会秩序は根源的な暴力にもとづくことを解き明かして新しい人類学の基礎を構築したジラールが、その直観を西欧の神話の壮大な集録「聖書」に展開。批判的かつ革命的に読み直しつつ人類の最も遠く最も古い秘密を探り出す。
目次
はじめに
第一編 基礎となる人類学
第一章 犠牲のメカニズム、つまり宗教的なものの基礎
A 横取りの模倣と模倣による敵対
B 禁忌の機能、模倣の禁止
C 儀礼の機能、模倣の要求
D 供犠の犠牲のメカニズム
E 宗教的なものの理論
第二章 文化と諸制度の発生
A 儀礼のヴァリヤント
B 神聖な王位と権力
C 儀礼の多値性と制度の特殊化の作用
D 動物の家畜化と儀礼としての狩り
E 性の禁忌と交換の原則
F 死と葬儀
第三章 人間化の過程
A 問題の設定
B 動物行動学と民族学
C 犠牲のメカニズムと人間化
D 超越的記号表現(シニフイヤン)
第四章 神話、偽装された基礎づくりのリンチ
A 徹底的な消去
B 「消極的な暗示的意味(コノタシヨン)」、「積極的な暗示的意味」
C 身代わりの犠牲者の身体的な諸特徴
第五章 迫害のテクスト
A 神話のテクストと指向対象
B 迫害のテクスト
C 迷妄を打破された迫害、近代西欧世界の特権
D 「身代わりのヤギ」という表現の意味論上の二重の役目
E 犠牲のメカニズムの歴史上の明確化
第二編 旧約・新約聖書のエクリチュール
第一章 世の初めから隠されていること
A 聖書の神話と世界の神話との類似
B 聖書の神話の特異性
C 福音書による、基礎づくりの殺害の解明
第二章 福音書のテクストの非供犠的な読み
A キリストと供犠
B 供犠的な読みの不可能
C 『黙示録』と寓話的な語り方
D 権力と支配
E 「神の国」の宣教
F 「神の国」と『黙示録』
G キリストの非供犠的な死
H キリストの神性
I 処女懐胎
第三章 供犠的な読みと歴史的なキリスト教
A 供犠的な読みの論理的な結果
B 『ヘブライ人への手紙』
C キリストの死と神聖なものの終結
D 他者の供犠と自己の供犠
E 「ソロモンの裁き」
F 新しい供犠的読み、つまり記号論的分析
G 供犠的な読みと歴史
H 科学と『黙示録』
第四章 ヘラクレイトスの「ロゴス」とヨハネの「ロゴス」
A 哲学における「ロゴス」
B ハイデガーの二つの「ロゴス」
C 『ヨハネによる福音書』の「ロゴス」の犠牲の定義
D 「初めに……」
E 愛と認識
第三編 個人対個人の心理学
第一章 模倣性の欲望
A 横取りの模倣と模倣性の欲望
B 模倣性の欲望と近代社会
C 模倣の危険性と欲望の力学
D 修業の模倣と敵対の模倣
E グレゴリ・ベイトスン
F 対象による敵対から形而上的欲望へ
第二章 対象のない欲望
A 分身と個人対個人の関係
B 交代の症候
C 対象の消滅と精神病の構造
D 催眠と憑依
第三章 模倣と性衝動
A 「マゾヒズム」と呼ばれるもの
B 芝居がかった「サド=マゾヒズム」
C 同性愛
D 潜在性と模倣による敵対
E 心理学におけるプラトン的観念の終末
第四章 精神分析的神話学
A フロイトのプラトン哲学とエディプス・コンプレクスの原型への依存
B 三角形をいかにして再現するか?
C 模倣と表象
D エディプス・コンプレクスの二重の発生
E なぜ両性愛なのか?
F ナルシシズム、フロイトの欲望
G 欲望の隠喩
第五章 つまずきのかなた
A プルーストの転換
B 犠牲と精神療法
C 『快感原則のかなた』と構造主義的精神分析
D 死の本能と近代文化
E 罪の誘惑(スカンダロン)
結びとして……
原注
訳者あとがき
参考文献
ISBN:9784588140037
。出版社:法政大学出版局
。判型:4-6
。ページ数:750ページ
。定価:7200円(本体)
。発行年月日:2015年02月
。発売日:2015年02月04日。