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叢書・ウニベルシタス 1111

世界の終わりの後で

黙示録的理性批判

著:ミカエル・フッセル
他訳:西山 雄二
他訳:伊藤 潤一郎

紙版

内容紹介

核の脅威と地政学的緊張、環境破壊と地球温暖化──〈世界の終わり〉は、いまや宗教的預言でも科学的予測でもなく、今ここにあり身体的に知覚され経験されるカテゴリーである。〈世界の終わり〉まで生き延びるためではなく、〈世界の終わり〉とともに生きるために、政治的なもの、社会的なもの、人間的なものの交差する地点にあらわれる破局的主題と対峙し、近代の諸概念を根源的に問い直す哲学的挑戦。

目次

序 文
 世界のイメージ
 終わりから喪失へ
 最悪の事態の論理
 系譜から診断へ

第一部 系譜

第一章 始まりからしてすでに終わり────なぜアポカリプスは近代に取り憑くのか
 アポカリプスと主権
 カオスから千年王国思想の希望へ
 ある恐怖から別の恐怖へ
 アポカリプスの理性
 世界のさまざまな終わり────進歩の理念の復権
  小休止
第二章 世界に対する怒りと近代性の源泉────禁欲主義のアクチュアリティ
 ヨブと弁神論の問題
 世界からの逃走と世界の拒否────無世界論の諸形象
 救済の力学と世界の忘却
 世界なき主体?
 「真の生」の禁欲的制約
  小休止
第三章 世界を征服する────近代の二つの道
 無世界論と和解
 ある種の視線
 廃墟の教え
 世界をつくるか、歴史をつくるか
 歴史性と世界への帰属

第二部 診断

第四章 世界の喪失────不可能なものに関する現代の経験
 彷 徨
 中 断
 終わり
 可能なもの
  小休止
第五章 世界か生か────何を守らねばならないのか
 生きるという命法
 正当化の原理
 誰が生の主体なのか
 世界と公的空間
  小休止
第六章 世界内に存在すること────コスモポリタニズムの前提
 帰属と退出
 「ヒトラーには世界がなかった」
 コスモポリタニズム vs 生存の政治
 残余する超越性
結 論

 ある世界の可能性────文庫版へのあとがき
 訳者あとがき
 人名索引

著者略歴

著:ミカエル・フッセル
(Michaël Fœssel)
1974年生まれ。ブルゴーニュ大学准教授を経て、アラン・フィンケルクロートの後任として、パリ理工科学校教授。専門は近現代ドイツ哲学、政治哲学。「エスプリ」誌の編集顧問。著書にKant et l’équivoque du monde(CNRS, 2008)、Récidive. 1938(PUF, 2019)ほか。日本語訳に「テクストの世界と生の世界 矛盾する二つのパラダイム?──ポール・リクールと〈読むこと〉の現象学」(米虫正巳編『フランス現象学の現在』法政大学出版局、2016年)がある。
他訳:西山 雄二
1971年生まれ。首都大学東京准教授。現代フランス思想。著書に『哲学への権利』(勁草書房、2011年)、編著に『終わりなきデリダ──ハイデガー、サルトル、レヴィナスとの対話』(法政大学出版局、2017年)、翻訳にデリダ『嘘の歴史 序説』(未來社、2017年)など。
他訳:伊藤 潤一郎
日本学術振興会特別研究員PD。早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。フランス哲学、キリスト教思想。論文に「ジャン=リュック・ナンシーと人格主義」(『フランス哲学・思想研究』第22号)、翻訳にブノワ「実在の領野と意義の地平」(『現代思想』第46巻第14号)など。

ISBN:9784588011115
出版社:法政大学出版局
判型:4-6
ページ数:386ページ
価格:4500円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年03月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDHR
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDX