叢書・ウニベルシタス 1085
メシア的時間
歴史の時間と生きられた時間
著:ジェラール・ベンスーサン
訳:渡名喜 庸哲
訳:藤岡 俊博
紙版
内容紹介
到来と期待、失望と忍耐のあいだで反復される人間の生。ユダヤ的伝統の記憶と、近現代の世俗化した歴史哲学との出会いから生まれた〈メシア的なもの〉の本質とはなにか? ヘーゲル、シェリングの観念論から、マルクスそしてモーゼス・ヘスをへてローゼンツヴァイク、ベンヤミンにいたる時間の経験を再考し、進歩主義やユートピアをめぐる宗教の手前にある、われわれの明日の現実を照らし出す。
目次
はじめに 歴史の時間と主体の時間
第一章 フィールド──メシアニズムと近代
世俗化
近代哲学のメシア的構造
歴史的知のメシア的脱呪術化
第二章 問い──メシアニズムと哲学
形而上学と時間表象
ヘブライズムとヘレニズム
ユダヤ・メシアニズム
預言的記憶と預言的忘却
第三章 時代のなかの歴史と政治
ヘーゲル、シェリング──国家と政治
理性の神話学と否定的ユートピア
内的歴史と外的歴史
第四章 忍耐と希望
待望と忍耐
時間的な決断
期待とノスタルジー
善の思い出
ツァラトゥストラは期待するか
第五章 《義なるもの》の隔たり
律法、隔たり、残りのもの
法と善意
正義と恩寵
無と同一性──律法と業
エピローグ メシア的言葉
原 注
訳 注
訳者あとがき
人名索引