叢書・ウニベルシタス 1032
フランスという坩堝(るつぼ)
一九世紀から二〇世紀の移民史
著:ジェラール・ノワリエル
訳:大中 一彌
訳:川﨑 亜紀子
内容紹介
人権と平等の国フランスで、「移民」という現象は歴史的にどのように出現し、推移し、語られてきたか。国民国家の記憶と歴史記述のなかで長らく無視されてきた存在に光をあて、1988年の初版刊行以来、移民・外国人差別、脱植民地化の問題を論じる際の必須文献となった古典的研究。アナール派歴史学そのもののラディカルな認識論的問い直しから始まる、もう一つの「記憶」の歴史。
目次
はじめに
移民現象をめぐる新しい見方
二〇年間の研究
「移民現象」と「統合」──二つの定義の再考
一九九九年の国勢調査から
序論
第一章 記憶の場ならざるもの
1 正統性なき対象
2 国民と歴史学者──影響力の問題
3 起源と契約、あるいは問題設定の難しさ
3・1 新しい契約のひと──社会学「フランス学派」の定礎者、エミール・デュルケーム
3・2 フランスにおける移民史の「恥ずべき」起源
3・3 新しい移民、新しい社会学者
4 フェルナン・ブローデルへの疑問
第二章 カードと法典
1 共和政の発明品としての移民現象
1・1 「外国人」の時代(一七八九年から一八八九年)
1・2 移民現象──言葉と観念
1・3 国境をうまく扱うためのいくつかの方法について
2 話すことが行為することであるとき
3 それぞれの人にとっての移民
3・1 どのような「資格」で、移民なのか
3・2 移民政策の困難
第三章 根こぎにされた人びと
記憶のかけら
エクリチュール
外国人労働者
国籍の空間
流入と帰還
切断、収容所、仮住まい
故郷喪失
父の名のもとに
スティグマ
仲間うち
第四章 「フランスよ、おまえは私の根を傷つけた」
1 定 着
1・1 「行ったり来たり」の終わり
1・2 国籍が異なる者との結婚と帰化
2 「第二世代」──その定義を求めて
2・1 「第一次社会化」という決定的経験
2・2 「真正さ」という問題
3 「根を再発見する」?
第五章 三つの危機
1 三つの定着期
1・1 移民現象「創出」の起源──一八八〇年代の危機
1・2 危機の影響──国民的規範に近づきたいという欲求
2 はけ口
2・1 実践面において
2・2 言説面において
2・3 説明上の要素
3 フランス社会における三つの徴候
3・1 「国民的事跡」の構築
3・2 「自由」業とはいうものの
3・3 学校における移民
第六章 フランスの再構築
1 移民の導入──国の工業化をめぐる困難の解決策
2 フランスの繁栄
2・1「フランス人がやりたがらない仕事」
2・2 著名人
2・3 多元主義
3 フランス型「モデル」
3・1 国民の民主的法権利の全能性
3・2 フランスにおける移民現象──先進モデルか?
3・3 「国民的同化」の社会史にむけて
結論 フランス革命二百周年祭にあたっての小論
訳者あとがき
統計に関する補遺
増補した文献
史料と文献
索引
ISBN:9784588010323
。出版社:法政大学出版局
。判型:4-6
。ページ数:516ページ
。定価:4800円(本体)
。発行年月日:2015年09月
。発売日:2015年09月25日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KC。