叢書・ウニベルシタス 1018
自然主義と宗教の間
哲学論集
著:ユルゲン・ハーバーマス
訳:庄司 信
訳:日暮 雅夫
紙版
内容紹介
哲学と宗教の関係をめぐるハーバーマスの主著。市民による公共的な論争への参加の重要性を論じ、脱超越論化した理性のあり方を問う。行き過ぎた科学主義、正統主義的な宗教意識の覚醒など、政治文化の危機を乗り越え、ポスト形而上学的思考に新たな地平を切り開く。あわせて幼少期の他者関係への目覚めから公共性理論の形成に至る、ハーバーマス自身が自らの知的遍歴を語った京都賞受賞記念講演も収録。
目次
序文
第一部規範に導かれた精神の間主体的なあり方
第1章公共空間と政治的公共性
二つの思想的主題の生活史的ルーツ
第2章コミュニケーション的行為と理性の脱超越論化
友人トム・マッカーシーの還暦を祝って
第3章討議の差異化の建築術
大きな論争への小さな返答
第二部宗教的複数主義と国家公民的連帯
第4章民主主義的法治国家における政治以前の基礎
第5章公共圏における宗教
宗教的市民と世俗的市民の「公共的理性使用」のための認知的諸前提
第三部自然主義と宗教
第6章自由と決定論
第7章「確かに私自身が自然の一部である」──理性の自然との絡み合いについて語るアドルノ
自由と自由処理不可能性との関係についての考察
第8章信仰と知の境界
カントの宗教哲学の影響史と現代的意義によせて
第四部寛容
第9章宗教的寛容
文化的諸権利のペースメーカー
第10章文化的な平等な取り扱い──そしてポストモダン・リベラリズムの限界
第11章複数主義的世界社会のための政治体制
訳者あとがき
初出一覧
註
索引