アジア遊学 261
古典は遺産か? 日本文学におけるテクスト遺産の利用と再創造
著:Edoardo GERLINI
著:河野貴美子
内容紹介
人びとが過去から現在へと紡ぎ、伝えてきたテクスト―「古典」。
それらが今なお様々な姿で我々にその存在を伝える背景には、各時代の人びとが古典というテクストに対し営んだ試行錯誤があった。
古典を「遺産」という概念から捉えかえし、所有性、作者性、真正性の観点からテクストそのものや、それにまつわる行為や意識を歴史的に考察。
さらに、古典と社会との関係性を照らし出す「テクスト遺産」という概念のポテンシャルを、文学研究と経済学・文化交流史など諸分野の視角を重ね合わせることにより提示。
文字と書物の文化研究を新たなステージへと領導する画期的成果。
目次
序言 Edoardo GERLINI
[緒論]なぜ「テクスト遺産」か Edoardo GERLINI
Ⅰ 所有性
書物およびテクストの所有性における奥書の役割について 佐々木孝浩
テクスト、パラテクスト、秘儀伝受―テクストを所有するとはどのような行為なのか? 海野圭介
光格天皇と本居宣長―御所伝受と出版メディアをめぐって 盛田帝子
[コラム]テクストの蒐集、収蔵、継承と「遺産化」のこと―王羲之の書を例として 河野貴美子
Ⅱ 作者性
物語における「作者」の発生 兵藤裕己
近世中期における「テクスト遺産」と「作者」 飯倉洋一
[コラム]「作者」はいつ成立するか―日本上代の事例から 高松寿夫
Ⅲ 真正性
『枕草子』におけるテクストの真正性 陣野英則
古典的公共圏の春―西円の源氏注釈をめぐって 前田雅之
近世日本における『蒙求』の音声化―漢字音と連続性 山本嘉孝
[コラム]仏教経典テクストの真正性と享受者―古典文学テクストとのつながり 阿部龍一
【特別寄稿】テクスト遺産としての古筆手鑑 Edward KAMENS
Ⅳ テクスト遺産の広がり
明石における龍宮イメージの形成―テクスト遺産としての『源氏物語』と『平家物語』をつなぐ夢 荒木浩
[コラム]テクスト遺産としてのモニュメント―平時子の例 Roberta STRIPPOLI
[コラム]テクスト遺産「運動」への期待―文化政策の視点から 佐野真由子
[コラム]日本の文化経済政策―テクスト遺産を中心にみる現状と課題 林原行雄
蜘蛛の巣としての電子テクスト―その来歴と現在 稲賀繁美
テクスト遺産とは何か Edoardo GERLINI・河野貴美子
あとがき 河野貴美子
ISBN:9784585325079
。出版社:勉誠出版
。判型:A5
。ページ数:240ページ
。定価:2800円(本体)
。発行年月日:2021年10月
。発売日:2021年10月29日。