出版社を探す

島崎藤村 ひらかれるテクスト

メディア・他者・ジェンダー

著:ホルカ・イリナ

紙版

内容紹介

新聞、雑誌、教科書など様々なメディアを通して広く読まれてきた島崎藤村。〈私的領域〉をモチーフとしながらも、ただの自伝や告白としてではなく、文学として昇華させることが目論まれたテクストは、社会の制度や通念に揺さぶりをかける、鋭い批評性を持っていた。
メディア・他者・ジェンダーをキーワードに、実生活と芸術、個人と社会、規範と逸脱が交錯する藤村文学を読み直し、そのダイナミズムを提示する。

目次

序 章 島崎藤村のテクストを〈今〉にひらく

第一部 メディアのなかのテクスト
第一章 新聞小説と挿絵─名取春仙の『春』
第二章 『文章世界』のメディオロジー─『桜の実の熟する時』の読まれ方
第三章 教育実践としての『藤村読本』─「世界」と「郷土」の狭間
第四章 教科書の中の島崎藤村─仮定された「内面」への回路

第二部 テクストのなかの他者
第五章 翻訳の政治学─ルーマニア語版『破戒』/「Legǎmîntul cǎlcat」の位相
第六章 青年と〈狂気〉─『春』における〈引用〉の力学
第七章 上書き可能な〈自己〉と〈他者〉─「懺悔」と手紙の『新生』

第三部 ジェンダーを撹乱するテクスト
第八章 〈他人〉の戦争─『新生』とジェンダー規範
第九章 女の心身─「ある女の生涯」における老いと病
第一〇章 〈父性〉と〈家族〉のあり様─「嵐」の射程

あとがき

著者略歴

著:ホルカ・イリナ
ルーマニア出身。京都大学人文科学研究所専任講師。博士[文学](大阪大学)。専門は日本近代文学。夏目漱石や森鷗外の小説、『世阿弥秘伝書七部集』をはじめとする日本文化論などのルーマニア語への翻訳や、国内外での研究発表も精力的に行っている。
主な論文に、“Insularity and Imperialism: The Borders of the World in the Japanese and Taiwanese Kokugo Readers during the Taishō Era” (Japan Forum 28, 2016)や「欧米における私小説研究」(大浦康介編『日本の文学理論 アンソロジー』水声社、2017年)などがある。

ISBN:9784585291640
出版社:勉誠出版
判型:A5
ページ数:256ページ
定価:4600円(本体)
発行年月日:2018年04月
発売日:2018年04月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ