建築家ヴォーリズの夢
戦後民主主義と大学
編:高澤 紀恵
編:山崎 鯛介
内容紹介
戦後日本の大学建築を牽引した建築家・ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964)。キリスト教伝導と英語教育のために来日したヴォーリズは、メンソレータムで名高い近江兄弟社を拠点に、建築事務所を開設し、教会、個人住宅、病院など数多くの西洋建築の設計を行った。
なかでも大学建築に代表的な建築が多く、関西学院大学、神戸女学院、同志社今出川キャンパス、明治学院などが彼の手になった。国際基督教大学(ICU)もそのひとつである。
戦後日本、戦後民主主義の展開のなかで、建築家ヴォーリズはどのような大学キャンパスをつくり、どのように学問の空間をつくりあげようとしたのか。本書はICUを中心とするヴォーリズの大学建築を主要テーマに、大学と建築家の出会いを戦後の歴史の中で読み解き、大学キャンパスの空間と学問の交差、また戦後と大学キャンパスのありようについて、豊富なカラー図版とともに考察する。
目次
序 高澤紀恵
第一部 ヴォーリズとキャンパス―空間を読む
ミッション建築家ヴォーリズとICUのキャンパス計画 山形政昭
「日本で最初の学生会館」―ディッフェンドルファー記念館の建設経緯 山崎鯛介
時間・空間・社会―ヴォーリズのいる場所 村上陽一郎
第二部 大学と戦争―時代を読む
明日の大学 明日の都市―コミュニティとしての大学=都市 吉見俊哉
ヴォーリズの夢?―本館建て替え問題をめぐって 田仲康博
冷戦と民主主義の蹉跌―理想と現実の狭間で ウィリアム・スティール
二〇世紀のリベラルアーツの歴史の中で 立川明
第三部 ヴォーリズのことば
ヴォーリズの手紙―ある名建築家のコミュニケーション 樺島栄一郎
記憶の宿る場所―稲富昭がヴォーリズから引き継いだもの 岸 佑
あとがき 山崎鯛介