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アジア遊学 239

この世のキワ

〈自然〉の内と外

編:山中 由里子
編:山田 仁史

紙版

内容紹介

「驚異」と「怪異」に共通する「異」なるものへの視線は、自己と他者、自己と宇宙の境界認識によって形作られるものであり、自然の中での人間の立ち位置を映し出す鏡でもある。
その「驚異」と「怪異」の表象を、ユーラシア大陸の東西の伝承・史料・民族資料・美術品に探り、「自然」と「超自然」の境界領域、「この世」と「あの世」の心理的・物理的距離感、境界に立ち現れる身体・音・モノなどについて、総勢25名の豪華執筆者が学際的に考察する。

目次

口絵/関連年表
序章―自然界と想像界のあわいにある驚異と怪異 山中由里子

Ⅰ 境―自然と超自然のはざま
自然と超自然の境界論 秋道智彌
中国古代・中世の鬼神と自然観―「自然の怪」をめぐる社会史 佐々木聡
怪異が生じる場―天地と怪異 木場貴俊
百科事典と自然の分類―西洋中世を中心に 大沼由布
怪物の形而上学 野家啓一

Ⅱ 場―異界との接点
平安京と異界―怪異と驚異の出会う場所〈まち〉 榎村寛之
驚異の場としての「聖パトリックの煉獄」 松田隆美
怪物たちの棲むところ―中世ヨーロッパの地図に描かれた怪物とその発生過程 金沢百枝
妖怪としての動物 香川雅信
イスラーム美術における天の表象―想像界と科学の狭間の造形 小林一枝
歴史的パレスチナという場とジン憑き 菅瀬晶子

Ⅲ 体―身体と異界  
妖怪画に描かれた身体―目の妖怪を中心に 安井眞奈美
平昌五輪に現れた人面鳥の正体は―『山海経』の異形と中華のキワ 松浦史子
魔女の身体、怪物の身体 黒川正剛
中東世界の百科全書に描かれる異形の種族 林則仁

Ⅳ 音―聞こえてくる異界
西洋音楽史における「異界」表現―試論的考察 小宮正安
カランコロン考―怪談の擬音と近代化 井上真史
「耳」「声」「霊」―無意識的記憶と魂の連鎖について 稲賀繁美
釜鳴と鳴釜神事―常ならざる音の受容史 佐々木聡
死者の「声」を「聞く」ということ―聴覚メディアとしての口寄せ巫女 大道晴香

Ⅴ 物―異界の物的証拠
不思議なモノの収蔵地としての寺社 松田陽
寺院に伝わる怪異なモノ―仏教民俗学の視座 角南聡一郎
民間信仰を売る―トルコの邪視除け護符ナザル・ボンジュウ 宮下遼
異界としてのミュージアム 寺田鮎美

終章―驚異・怪異の人類史的基礎 山田仁史

展覧会紹介「驚異と怪異―想像界の生きものたち」

著者略歴

編:山中 由里子
1966年神奈川県生まれ。比較文学・比較文化学者。専門分野は西アジア、イラン。2011年日本学士院賞学術奨励賞受賞。
著書に『アレクサンドロス変相 ―古代から中世イスラームへ』(名古屋大学出版会、2009年)ほか。
編:山田 仁史
1972年宮城県生まれ。神話学・文化人類学者。
著書に 『いかもの喰い』(亜紀書房、2017年)、『首狩の宗教民族学』(筑摩書房、2015年)、『水・雪・氷のフォークロア』(共編、勉誠出版、2014年)、『神の文化史事典』(共編、白水社、2013年) など。

ISBN:9784585227052
出版社:勉誠出版
判型:A5
ページ数:368ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2019年11月
発売日:2019年11月29日