平凡社新書 861
通じない日本語
世代差・地域差からみる言葉の不思議
著:窪薗 晴夫
内容紹介
言葉の世代差と地域差を軸に、他の言語との比較も交えながら、身近な日本語の「通じなさ」を面白おかしく紹介する。
目次
《目次》
プロローグ──私の異文化体験
ハンカチで鼻をかむイギリス人 / くしゃみと鼻かみ / 写真のない運転免許証 / 日本の中の異文化
第1部 中高年の悩み
第1章 昭和の日本語
第2章 何でも略す日本語
1 マクる
先生、マクっていいですか? / 「マクる」の先輩 / 頭が肝心 / ジョージでバイト / 2モーラの秘密 / 省エネの原理 / ポルノが好き / 「マクる」の大先輩 / 「せくらべ」か「せいくらべ」か / やくざの「やあさん」 / 略語の「リ」 / 詩歌のリズム / 音楽のリズム
2 デジカメの餌
デジカメ / ユニクロとコブクロ / 「じゃがいも」と「半ドン」 / 生コンとボディコン / 「とんかつ」と「シューカツ」
3 ペットの水でいいですか
ペットの水 / 「こうもり」と「じゃのめ」 / 「ガクドウ」の子 / 早稲田と慶應
4 マイウ
第3章 パンツをはかない女性たち
1 「やばい」話
イチローの「やばい」 / 奥さん、やばいっすよ! / 意味の上昇 / 我慢と自慢 / こだわりの一品 / すごい / 意味の下降──いい加減 / 英語のniceとsilly
2 パンツとズボン
パンツはいてくればよかった / 外来語としての「パンツ」 / 2種類のパンツ / 意味の拡大 / 腕を上げる / 「指の先」と「この先」 / この「ところ」 / 「明後日」の方向 / place は広場?
3 洋服も着物
洋服も「着物」 / 牛車も「車」 / 「肉まん」と「ブタまん」 / meatとflesh / 「やばい」と「パンツ」のまとめ
第4章 発音も変わる
1 ふいんき
雰囲気は「ふいんき」か / 「山茶花」 / マンマとウンチ / サッちゃん / 三つの詩歌 / 女房子供 / みなしごハッチ / 「ローテ」と「ロケ」 / 「パンツ」と「ツンパ」 / 魔人ブウとウーブ / のどぬーる / かっとばせえ阿部! / ピクニック / 英語の「ナガサーキ」 / 「さざんか」と「ふいんき」
2 金メダルと銀メダル
金か銀か / 語頭の濁音 / 濁音の特殊性
コラム1 かぐや姫の粗い髪
コラム2 真っ白な掃除機
第5章 全然OK
全然大丈夫 / 頭痛が痛い / 5000円からお預かりします / ゴジラ / 十本 / brunch
第2部 ところ変われば
第1章 日本国内の異文化
味噌おにぎり / 牡蠣のお雑煮 / 黒蜜ところてん / 水筒と体操服 / 食べ物と言葉
第2章 味噌汁は「からい」か「しょっぱい」か
1 俚言
いちびりとゲラ / けったマシン / 昼ほうか / げんなか / しょっぱい / 「かたす」と「なおす」
2 お肉買ってきて
豚肉は「肉」か? / 豚肉のカレー
3 「わい」と「おい」
4 隣のおっさん
5 ねまる
6 ところ変われば形容詞も変わる
太か人 / 辛か味噌汁 / 甘か味噌汁 / お湯が痛か
7 ぶつかりよった
コラム3 鹿児島の「おかべ」
第3章 あなたにくれる
1 「やる」と「くれる」
犬に餌をくれる / 読んでくれる / 新聞をやって
2 鹿児島弁と英語
「行く」と「来る」 / お湯が痛い / YesかNoか
第4章 進化している和歌山弁
1 「を」はオかウォか
2 象の銅像
先進的な和歌山弁 / 音の有標性
3 雨はアメかアメか
雨と飴 / いろいろな「ありがとう」 / 標準語と鹿児島弁 / 類別語彙 / 中国語の方言差 / 日本語はアクセントの宝庫
コラム4 質屋はシチヤかヒチヤか?
4 上げる標準語、下げる鹿児島弁
疑問文のイントネーション / 名古屋弁の詰問 / 上げる標準語、下げる鹿児島弁 / 鹿児島弁の疑問文 / 北と南 / 甑島弁の疑問文 / 世界の疑問文
コラム5 しゃくにさわる標準語
エピローグ
日本語の多様性と言葉の摩擦 / 日本語の多様性と言葉の教育
あとがき