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平凡社新書 811

リメイクの日本文学史

著:今野 真二

紙版

内容紹介

もと歌の書き換え、自作に手を入れ続ける作家たち……「推敲」から「翻案」まで、「書き換え」の諸相に目を凝らし、文学の力を探る。

目次

はじめに

第一章 古典文学はリメイクされる──源氏物語と牡丹燈籠
リメイクされた(?)『万葉集』の和歌/本歌取り/『源氏物語』と『狭衣物語』
駒下駄の音高くカランコロン/「翻案」という語について/固有名詞に注目すると
漢文になった牡丹灯籠/コミック化した牡丹燈籠/唐十郎『青春牡丹燈籠』
カラコン/カランコロン

第二章 翻案というリライト──明治の翻案小説と幽霊塔の歴史
人肉質入裁判/Shylockとサイロク/幽霊塔へようこそ/『幽霊塔』の歴史 
書き換えられた『灰色の女』

第三章 推敲と書き換えのはじまり──漱石と賢治の自筆原稿
『坊っちやん』の自筆原稿/高浜虚子による松山方言の修正/固有名詞の変更
漱石の誤記あれこれ/語形にかかわる修正/『それから』の自筆原稿
表記の書き換え/『それから』の語形にかかわる修正/格助詞「ノ」の脱落
ケレドモ・ソウシテ・ダカラ/宮沢賢治の自筆原稿/カムパネラルかカムパネルラか
消された描写

第四章 作家たちは書き換える──「鼻」と「山椒魚」
芥川龍之介「鼻」/芥川龍之介「ひよつとこ」/井伏鱒二「山椒魚」
いくつものアウトプット

第五章 詩はどのバージョンがよいと言える?──てふてふ・有明・あむばるわりあ
安西冬衛「春」 蒲原有明「朝なり」 一作品の四つのかたち
西脇順三郎『Ambarvalia』と『あむばるわりあ』

第六章 少年少女のために──乱歩の場合その他
ポプラ社『少年探偵?江戸川乱歩全集』/「二銭銅貨」の場合/情報の簡略化
語の書き換え/外来語/漢字字体とかなづかい/系譜の抹消
講談社『少年少女世界文学全集』(全五十巻)/『坊っちゃん』の少年少女向けの書き換え

第七章 歌詞の変容──春の小川はさらさら流る
「やる」と「あげる」/「春の小川」/「蛍の光」/「冬景色」/「お山の杉の子」
「汽車ぽっぽ」/「星月夜」から「里の秋」へ/「夢の外」─「真白き富士の根」

おわりに
漢文訓読/ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』/トリビュートから二次創作へ

著者略歴

著:今野 真二
1958年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院博士課程後期退学。現在、清泉女子大学教授。専攻、日本語学。著書、『辞書をよむ』(平凡社新書)、『百年前の日本語』(岩波新書)、『「言海」を読む』(角川選書)、『戦国の日本語』(河出ブックス)、『盗作の言語学』(集英社新書)、『常用漢字の歴史』(中公新書)、『漢和辞典の謎』(光文社新書)など多数。

ISBN:9784582858112
出版社:平凡社
判型:新書
ページ数:240ページ
定価:800円(本体)
発行年月日:2016年04月
発売日:2016年04月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ