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前田利家・利長

創られた「加賀百万石」伝説

著:大西 泰正

紙版

内容紹介

遺言状にまつわる利家伝説の数々、一向一揆との本当の関係、利家・利長親子による特殊な二重支配などを探ることで、前田家の実像を解明しつつ、加賀百万石誕生の秘密に迫る。

目次

はじめに──「加賀藩成立史」への疑念

第一章 豊臣秀吉書状の偽作──利家伝説の虚実①
賤ヶ岳合戦での利家をめぐる〝噂〟
加賀国北二郡加増の背景
前田家礼賛に利用された末守合戦
金沢・尾山の地名と秀吉書状の謎
秀吉書状は後世の捏造なのか
三系統に分けられる写本群
「切り貼り」された可能性

第二章 前田利家の領国支配
豊臣大名としての利家・利長
扶持百姓はなぜ登用されたのか
領国の特性にあわせた検地
利家は地域社会に妥協したのか
刀狩りを遅らせた利家の真意
秀吉より厳しかった利家の刀狩り
村落のまとまりを重視した政策
過酷な要求がなされた在地社会の現実
フレキシブルな領国支配
家臣団編成も柔軟に

第三章 前田利家と豊臣政権
豊臣政権における利家の立場
「秀吉と仲良しだから」の特別待遇
秀吉の勘気をこうむる利家
秀吉の勘気の理由を探る
台頭する利家と秀吉の意図
秀吉の親族大名として
関白秀次事件までの利家の立場
関白秀次事件と利家の動き
徳川家康に次ぐ実力者に

第四章 前田利家遺言状の偽作──利家伝説の虚実②
正室に口述筆記で書き留めさせたという遺言状
利家の遺言状に書かれていること
遺言状は本当に「口述筆記」なのか
遺言状の各種写本を検証する
統一されていく遺言状の年月日
遺言状の署名・宛所にも手が入る
みえてくる遺言状の種本の存在
「国祖遺言」と流布本を比較する
捏造された遺言状

第五章 前田利長と豊臣政権
家督継承・官位昇進・「大老」就任をめぐる通説の問題点
前田本家の相続
権中納言への昇進はいつなのか
豊臣大名の一人から準「大老」へ
準「大老」から「大老」へ
利家、最後の仕事
石田三成襲撃事件と「大老」利長の苦悩

第六章 「加賀征伐」という虚像
「大老」利長の加賀帰国
通説「加賀征伐」のあらすじ
家康の大坂入城と利長の排除
利長の選択は家康との関係修復
「加賀征伐」の幻
「加賀征伐」説話成立の背景
なぜ「加賀征伐」がでっちあげられたのか
関ヶ原合戦と「加賀百万石」の誕生

おわりに

著者略歴

著:大西 泰正
石川県金沢城調査研究所々員

ISBN:9784582477450
出版社:平凡社
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2019年04月
発売日:2019年04月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNB