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メルロ゠ポンティの言語論のエッセンス

身体性の哲学、オートポイエーシス、対話原理

著:西口 光一

紙版

内容紹介

わたしたちが発話するとはどういうことか? メルロ゠ポンティの深い思索をたどりながら、生命論の視座から人間の言語の営みにアプローチする、〈ことば学〉の新たなる展開。

目次

第1章 メルロ゠ポンティにおける現象学と機能しつつある志向性
 イントロダクション
 1 メルロ゠ポンティと現象学
  1-1 現象学の暫定的定義
  1-2 メルロ゠ポンティの決意
 2 現象学の基本的スタンス――生きられている世界への還帰
  2-1 現象学的還元
  2-2 反省的分析と現象学
  2-3 生きられている世界
 3 世界内存在と知覚の現象学
  3-1 知覚への注目
  3-2 世界内存在
 4 機能しつつある志向性
  4-1 志向性
  4-2 作動的志向性あるいは機能しつつある志向性
 5 実存の実践の従事
  5-1 機能しつつある志向性と志向性分析の方法
  5-2 実存の実践

第2章 前期メルロ゠ポンティの言語論――身体性の言語論
 イントロダクション
 1 世界内存在にとっての言葉
  1-1 言葉の中の思考――現象的身体
  1-2 ノエシス-ノエマ相関としての言葉と実存からの敷衍
  1-3 言葉の内に住み込む実存的意味
  1-4 実存の運動と転調――バフチンの対話原理との呼応
  1-5 制度化された言語的所作――構成された言語
 2 言語的所作
  2-1 所作と言語的所作
  2-2 「わたし」の意図と「他者」の所作及び「わたし」の所作と「他者」の意図の相互性
  2-3 自然的標識と人工的標識
  2-4 情動と所作の文化特殊性と身体性の言語論
 3 実存のゲシュタルトとしての言語的所作
  3-1 言語的所作と経験の構造化
  3-2 主体と客体の二分法の乗り越え
  【例解】世界内存在による世界経験と言語的所作

第3章 呼応するメルロ゠ポンティとソシュール
 イントロダクション
 1 『講義』におけるソシュール――3つの対概念と記号の恣意性
  1-1 ラングとパロール
  1-2 シニフィアンとシニフィエ
  1-3 共時言語学と通時言語学
  1-4 言語記号の恣意性
 2 価値形相論
  2-1 価値形相論
  2-2 ソシュールによる言語をめぐる価値形相論
 3 構成された構造と構成する構造
  3-1 構成された構造と構成する構造との力動的一元論
  3-2 ラングとパロールの2つの次元と記号学
 4 メルロ゠ポンティにおける語る言葉と語られた言葉
  4-1 語る言葉と語られた言葉
  4-2 ラングとパロールの弁証法的発展と真正な言葉

第4章 ラングのランガージュへの還元と身体的志向性――中期メルロ゠ポンティの言語論
 イントロダクション
 1 ソシュールを超える
  1-1 言葉゠パロールの意味
  1-2 弁別的意味あるいは示差的意味
  1-3 示差的意味とランガージュのヒューリスティックスと機能しつつある志向性
  1-4 ラングの内的分化
 2 メルロ゠ポンティによる議論の展開
  2-1 ラングのランガージュへの還元――ラングの仲介を内包したランガージュというシンボル的機能
  2-2 身体的志向性
 3 話し方の様式あるいはことばのジャンル
  3-1 話し方の様式としてのラング
  3-2 バフチンのことばのジャンル

第5章 メルロ゠ポンティとオートポイエーシス論と対話原理
 イントロダクション
 1 メルロ゠ポンティの人間観
  1-1 オートポイエーシス論
  1-2 言語という領域
  1-3 世界内存在゠オートポイエーシス組織という人間観
 2 メルロ゠ポンティの言語観
  2-1 身体図式と身体論
  2-2 モンタージュ
  2-3 意識の生を統一する志向弓
 3 メルロ゠ポンティとバフチン
  3-1 バフチンのイントネーション論
  3-2 イントネーションとゲシュタルト
 4 わたしたちが発話をするとき
  4-1 発話の2つの先行因
  4-2 第1の要因:「わたし」に宛てて送られる存在と出来事としての「わたし」
  4-3 第2の要因:「つねにすでにそこにある」言語システム
  4-4 メルロ゠ポンティにおけるランガージュ

附録 対話の原型と対話原理の原点――「生活のなかの言葉と詩のなかの言葉」におけるイントネーション
 要旨
 1 はじめに
 2 生活の中の言葉の特性
  2-1 生活の中の言葉への注目
  2-2 「生活の中の言葉」論の端緒
 3 イントネーション論
  3-1 コロスの支えとイントネーション
  3-2 イントネーションの二方向の定位
  3-3 イントネーション的隠喩
  3-4 発話の社会的交通論
 4 芸術(文学)の社会的交通論
  4-1 文学の中の言葉
  4-2 芸術(文学)の社会的交通論
 5 考察
  5-1 対話の原型と対話原理の原点
  5-2 人として生きることとイントネーション
  5-3 イントネーションの本性
 6 むすび

ISBN:9784571101960
出版社:福村出版
判型:A5
ページ数:176ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2022年04月
発売日:2022年04月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDH
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DDF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1DDN