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人生を創造する

ライフストーリーによる社会教育の理論と実践の探究

著:ガストン・ピノー
著:マリー゠ミッシェル
訳:末本 誠

紙版

内容紹介

実在するひとりの女性のライフストーリーを基に、人が学ぶとは何か、自分を変えるとは何かを根本から問い直す。生涯学習・ジェンダー平等の時代における教育の古典的理論・実践書。

目次

緒 言
 自己形成/複数のライフストーリー/マリー゠ミッシェル

第一部 自己形成
 第一章 自己形成という夜の体制
  第一節 夜という残滓
   死んだ時間――強い時間の経験/非制度的な夜の残滓/ロマンティシズムではなく/いくつかの目印
  第二節 夜の時間と自己形成
   否定によるアプローチ/より具体的な検討
  第三節 夜の象徴主義
   反転の象徴主義/親密さの象徴主義/時間的象徴主義
  結論 夜――自己形成のグランゼコール
 第二章 自己歪曲というリスク
  第一節 自己形成のイデオロギー
  第二節 イデオロギーと自己形成
  第三節 自己形成のイデオロギー的利用
  第四節 主体の作用を認知することによって主観主義と闘う
  結 論
 第三章 中間の形態
  第一節 個別化した教育
   旧い教育学の流れ/現代の技術発展/成人教育における実現
  第二節 支援された独学
   事例研究/全体の概観
  第三節 経験学習に関する社会的評価
   六つの基本的問題/経 費/二つの機能/導入の基礎的条件
 第四章 明らかになった氷山という視点――独学者のプラン
  第一節 成人は三人のうちの一人以上が独学のプランをもっている
  第二節 独学者の教育プラン
  第三節 教育的な自律化
 第五章 形成過程の占有
  第一節 生涯教育の目的としての自己形成
   導入教育における他者への根元的な依存/継続教育はこの依存を継続させるべきだろうか/生涯教育の極小命題と極大命題
  第二節 社会-教育的解放の過程
   形成力を他律的関係から自立させる/自律的な生産能力と勝利者たる他律性
  第三節 使用と常人の反-文化
   使用価値と自律的な生産様式/使用者たちが体験した文化/常人たちが体験した文化
  第四節 生涯教育の基礎となるべき自己-他者教育の矛盾
   他者教育は価値の座標的次元で構築され、それが強い交換力を付与する/受け取った座標的枠組みの不十分さが明らかになるとき、他者教育の使用が自己形成を生む/自己形成は日常生活での使用において作用する、価値の構造次元で二段階の価値を生み出す
  結論 二つのパラダイムの対峙
 第六章 自己形成というパラダイムの出現
  第一節 自己の不意の出現
   生命のパラドックス/マクロ理論/弁証法-システム論的概念
  第二節 形成の台頭
   統合による創造/形成――進化という人間的機能
  第三節 形態発生領域の出現

第二部 ライフストーリーの歴史
 序 自己形成とライフストーリー
   自然に物語られる歴史、文学領域、研究方法
 第一章 ライフストーリーの文学的形式
  第一節 伝 記
  第二節 自 伝
   伝記との相違/根本的パラドックス
 第二章 心理学とライフストーリー
  第一節 伝記心理学
   精神分析的な流れ/人生のサイクルという流れ
  第二節 自己-分析
   フロイトの自己-分析/フロイト以降の自己-分析
  第三節 自己発達
 第三章 社会学的・人類学的利用
  第一節 今世紀初めの戦闘的社会学の方法論として
   シカゴ学派と参与観察法(一九二〇~一九三五年)/ポーランドにおける意識化の方法
  第二節 戦後の一時的消滅(一九四五~一九六〇年)
   方法論者側の挫折に関する総括/ゴッフマンと社会的事実に関する演劇的説明
  第三節 一九六〇~七〇年代の多様なルネッサンス
   北アメリカにおけるデータ収集方法として/具体人の生成に関する科学として
 第四章 教育におけるライフストーリーの利用
  第一節 他者教育における他者のライフストーリー……
  第二節 成人教育において組織的に利用する試みの出現
   民衆教育における意識化の方法/継続職業教育における脱テーラー化の試み/指導者養成における教育訓練の過程と要求の探求方法
  第三節 自己形成を計り知るうえでは有利でも、ほとんど探究されていない方法
 第五章 自己形成のためのライフストーリー利用を理論的に根拠づける諸要素

第三部 マリー゠ミッシェル
 第一章 困難な作業
  ライフストーリーを語る者とそれを解釈する者の間の、社会的な二項対立/口述と記述の間の二項対立
 第二章 マリー゠ミッシェル――ひとりの専業主婦
 第三章 小さな仲間集団による解釈のための座談会
 第四章 専業主婦によるさまざまな自己形成の経験(マリー゠ミッシェルとひとりの女友達による、文章による相互理解)
  1 自己形成の経験
   学校との関わり/政治に関して/余暇に関して/文化に関して/役割に関して/教会に関して
  2 この女性の現状
   母親―妻役割の無価値化/依 存/アイデンティティの不在/孤 立
 第五章 現在のフェミニストの潮流における専業主婦の位置(マリー゠ミッシェルの社会的なパースペクティヴ配置)
  1 フェミニズム懐胎期(一九〇〇年から一九〇七年まで)
  2 カトリック的改良主義フェミニズム(一九〇七年から一九六〇年まで)
   投票権/ケベック女性と労働の世界/女性の権利闘争と妻の法的条件
  3 世俗的改良主義フェミニズム(一九六〇年から一九六九年まで)
  4 ラディカルフェミニズムと社会主義フェミニズム(一九六九年から一九七六年まで)
  5 人間主義フェミニズム(一九七六年から)
 第六章 ある女性
  1 サント゠フラヴィ――一九四七年
  2 レヴィ――一九四八年
  3 サン゠ロミャール――一九四九年
  4 サン゠ロミャール――一九五〇年
  5 サント゠ニコル
  6 アルヴィダ――一九五二、一九五三、一九五四年
  7 シクーティミ――一九五五、一九五六、一九五七年
  8 シクーティミ――一九五八、一九五九、一九六〇、一九六一年
  9 ケベック――一九六二、一九六三、一九六四、一九六五年
  10 モントリオール――一九六五、一九六六、一九六七年
  11 リヴ゠シュッド――一九六八、一九六九年
  12 モントリオール――一九六九、一九七〇、一九七一年
  13 モントリオール郊外のある町――一九七二年から一九八一年
 第七章 マリー゠ミッシェルの自己形成に関する分析的総合
  第一節 方法論
   省察――人生の道程ないしは物語を生む、集団的で漸進的な方法論/人生の物語と道程分析の方法論
  第二節 ケベック人の道のり
   地方から都会へ/ある家族から他の家族へ/大きな行程
  第三節 自己形成の過程
   全体的な指標――トランザクション(和解)/受けてきた教育と和解する/昼の法則と闇の文化/自己を失わずに人生を捧げる/自己形成の方法
  第四節 マリー゠ミッシェルの自己形成に関する分析総合的な結論
   引き受けることの暴力――研究―形成という二つでひとつの立場/自己形成過程の確定

結 論
 自己形成に関する研究―実践の道具としてのライフストーリー/著者―研究者の結論/マリー゠ミッシェルの結論

ISBN:9784571101953
出版社:福村出版
判型:A5
ページ数:550ページ
定価:5500円(本体)
発行年月日:2022年04月
発売日:2022年04月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN