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第二言語教育のためのことば学

人文・社会科学から読み解く対話論的な言語観

著:西口 光一

紙版

内容紹介

第二言語学習者にとって言語とは何か、どのような活動が言語の上達を促進するのか? 言語教育に携わる著者が長年にわたって独自に取り組んできた「ことば学」の集成。

目次

第1章 ラングの言語観から当事者視点の言語観へ
 イントロダクション
 1 抽象的客観主義と第二言語教育における言語中心の即物主義
  1-1 ラングの抽出
  1-2 ラングとパロール
  1-3 抽象的客観主義
 2 バフチンの言語への視線
  2-1 当事者視点の言語観
  2-2 言語活動の真の現実――言語活動という社会的な出来事
  2-3 言語の現実とことばのジャンル
 3 ことばのジャンルとことばの多様態性
  3-1 ことばのジャンルと言語活動従事
  3-2 ことばのジャンルからことばへ
  3-3 ことばの多様態性
 4 言語活動従事と言葉遣いを中軸とした新たな第二言語教育の構想
  4-1 ことばの多様態性とことばのジャンルの関係からの示唆
  4-2 新たな第二言語教育の構想
 5 結 び
 文献案内

第2章 ヴィゴツキーの精神への社会文化的アプローチ
 イントロダクション
 はじめに
 1 ヴィゴツキーの発達研究
  1-1 活動性の体系
  1-2 発生的分析
 2 精神の社会文化史
  2-1 媒 介
  2-2 媒介-手段を-用いて-行為する-個人
  2-3 道具の累積的発達
  2-4 心理的道具と心理的システムの現実的様態
 3 個体発生
  3-1 自然的発達と文化的発達
  3-2 文化的発達の一般的発生法則
  3-3 言語と思考
 4 生活的概念から科学的概念へ
  4-1 科学的概念の発生
  4-2 生活的概念と科学的概念
  4-3 科学的概念、学校、そして発達の最近接領域
 5 発達の最近接領域
  5-1 発達の最近接領域とは何か
  5-2 経 験
 6 結 び
 文献案内

第3章 異言語話者の接触場面における言語的活動は言語的相互行為か
 イントロダクション
 はじめに
 1 チュートリアル・セッションから考えたこと
  1-1 チュートリアル・セッション
  1-2 インフォーマント
  1-3 インフォーマントのスピーチ
  1-4 インフォーマントの状況
 2 言語的相互行為と言葉
  2-1 人間のコミュニケーションへの多元的な社会的-認知的アプローチ
  2-2 間主観性の状態と話し手と聞き手
  2-3 言 葉
 3 異言語話者の接触場面における言語的活動
  3-1 同じ言語を共有する者同士の言語的活動
  3-2 チュートリアル・セッションにおける言語的活動の特質
  3-3 接触場面における言語的活動と第二言語発達
  3-4 第一言語発達のZPDと第二言語発達のZPD
 4 結 び
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第4章 語ることをわたしたちの生態環境に位置づける
    ――異言語話者接触研究のための発話の生態心理学序説
 イントロダクション
 はじめに
 1 「わたしたちの世界」との出会い
  1-1 世界の共同性
  1-2 新たな状況との切り結び
 2 生態心理学の視点
  2-1 機械論的な心理学の困難
  2-2 生態心理学
  2-3 アフォーダンスとわたしたちの行動
 3 異言語話者が語るということ
  3-1 経 験
  3-2 経験を語ること
  3-3 接触場面における異言語話者の困難
 4 結 び
 文献案内

第5章 言語教育におけるナラティブ主義とヴィゴツキーとバフチン
 イントロダクション
 はじめに
 1 表現活動中心の日本語教育における言語についての見解
  1-1 話し手と聞き手との共通の領域としての発話
  1-2 ことば的事象と言語なるもの
  1-3 ことばのジャンル
  1-4 第二言語学習者が習得するべき言語
 2 表現活動中心の日本語教育の企画の方略
  2-1 言語への注目の仕方
  2-2 自己に根ざした「わたし」による表現活動という言語活動
  2-3 表現活動中心の日本語教育の企画
 3 ナラティブへの注目
  3-1 人間の活動領域とことばのジャンル
  3-2 社会文化史と自己
  3-3 心理学における人間の心への注目
  3-4 ナラティブ・ターン
 4 結 び
 文献案内

第6章 人間学とことば学として知識社会学を読み解く
    ――第二言語教育のためのことば学の基礎として
 イントロダクション
 はじめに
 1 知識社会学
  1-1 知識社会学とは
  1-2 人間学的必然性
 2 外在化と客体化
  2-1 外在化と文化
  2-2 文化と言語
  2-3 文化と社会
 3 知識社会学の人間観
  3-1 社会と人間
  3-2 客体化された世界の内在化
 4 知識社会学の言語観
  4-1 意味秩序あるいはノモス
  4-2 ノモスを作り上げる言語
  4-3 ノモスと言説
 5 言語についての議論
  5-1 記 号
  5-2 言 語
  5-3 2種類の現実経験に関わる言語
 6 言語についての洞察
  6-1 ノエシスとノエマ
  6-2 世界構築の営みにおける言語の位置
 7 結 び
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第7章 そのモノ、多面的につき、取り扱い注意!
    ――第二言語教育にとっての言語論的転回の意味
 イントロダクション
 はじめに
 1 言語論的転回
  1-1 言語論的転回とは何か
  1-2 ウィトゲンシュタインの言語ゲーム
 2 相互行為研究における言語へのまなざし
  2-1 ゴフマンの相互行為秩序論
  2-2 社会的出会いにおける言語
  2-3 相互行為秩序論から相互行為の共構築へ――相互行為で取り交わされる発話
  2-4 発話が言語記号と見えるとき
 3 社会学における言語へのまなざし
  3-1 バーガーとルックマンの知識社会学
  3-2 バーガーとルックマンからガーゲンへ
  3-3 世界制作という視点
 4 結 び
 文献案内

第8章 世界内存在とことば
    ――第二言語教育における実存論的転回に向けて
 イントロダクション
 はじめに
 1 世界内存在という視点の経緯
  1-1 根源的な生活世界に立ち返る
  1-2 メルロ=ポンティの構造の哲学
  1-3 人間的秩序――行動のシンボル的形態
 2 世界内存在
  2-1 ハイデガーの『存在と時間』
  2-2 現存在の分析
  2-3 ひと(das Man)と本来的実存
 3 地平的図式と話(Rede)
  3-1 心 境
  3-2 現存在と話
  3-3 世界内存在の受動性
  3-4 地平的図式あるいは地平
 4 結 び
 文献案内

ISBN:9784571101915
出版社:福村出版
判型:A5
ページ数:220ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2020年12月
発売日:2020年12月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CF