一冊でわかる『坂の上の雲』
司馬遼太郎が伝えたもの
著:谷沢 永一
紙版
内容紹介
「『坂の上の雲』は、司馬遼太郎が、作家としての生命力が最も充実する年齢を計算して、その黄金時代のすべてを、この作品に賭けて、全精力を投入して仕上げた代表作である」(谷沢永一)。平成8年にこの世を去ってもなお、多くの読者を惹き付けてやまない司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』。明治維新を契機に、わが国が世界の表舞台に登場し、近代化の荒波をまともにかぶった時代、先人たちは無尽蔵のエネルギーとともに、国の将来と己の人生を重ねつつ生きぬいた。日本陸軍で「騎兵の父」としてその名を高らしめた秋山好古、日本海海戦においてロシアのバルチック艦隊を破った秋山真之。兄弟二人の目を通じて見た時代の姿とは、何だったのか。全集本で3巻、文庫版で8巻にわたる広大なストーリーを丁寧にたどりながら、国家の運命、人の世の知恵を指し示す。読者は本書の中から、勝利と敗北の微妙な綾、義務と責任を引き受ける人生の美しさを見出すに違いない。