イーハトーブと満洲国
宮沢賢治と石原莞爾が描いた理想郷
著:宮下 隆二
紙版
内容紹介
宮沢賢治と石原莞爾。それぞれが描いた理想郷が「イーハトーブ」と「満洲国」であった。一方は文学の世界で描いたユートピア。他方は満洲事変の立役者が国家体制として描いた王道楽土。この奇異な取り合わせの真意とは何か。▼同時代を生きた二人が日蓮=法華経の信者であることは知られているが、戦後、両者への評価は真っ二つに分かれる。賢治は「雨ニモ負ケズ」で印象づけられた純粋無垢な求道者、莞爾は日本を軍事国家に導いたファシスト、というように。しかし両者には、同郷、同世代であること以外に、先述のように、法華経の熱心な信者であったという重要な共通点がある。戦前、時期を同じくして、二人は法華経教団「国柱会」の会員となり、その主宰者・田中智学に傾倒していく。▼本書は、これまで誰も正面から論じることがなかった二人の思想・信仰について柔軟な筆遣いで明らかにする。「あの戦争」が何であったかを斬新な切り口で検証する画期的論考。
目次
●第一章 法華文学こそわが使命 ――宮沢賢治 ●第二章 理想郷としての満洲建国 ――石原莞爾 ●第三章 大河の源流 ――「法華経の行者」日蓮 ●第四章 賢治における光と影 ●第五章 ユートピアを夢見て ●第六章 現代を映す鏡