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文庫クセジュ 1023

社会主義リアリズム

著:ミシェル・オクチュリエ
訳:矢野 卓

紙版

内容紹介

二十世紀ロシア・ソヴィエト文化の盛衰史

 社会主義リアリズムという言葉は、1932年初頭になって初めて出版物に登場する。この芸術理論は、共産党の革命運動を信奉した全世界の芸術家を熱狂させた。だがそれは、本質的にはスターリンの全体主義政治における、あらゆる芸術運動の抑圧を象徴していた。社会主義リアリズムの本質とは、時代に応じた厳格な要請にあったわけでなく、芸術を全体主義的な党=国家の権限下に置くことで、その目的に服従させるという、正統派的教義の地位にあった。
 本書は、どのようにこの正統派的教義が創りだされ、どのようにその美学的内容は定義されていたのか。どのように機能し、文学と芸術の発展に影響を及ぼしたのか。どのような要因が、芸術を生みだすメカニズムを麻痺させてしまったのかを検証する。

著者略歴

著:ミシェル・オクチュリエ
1933-2017。ロシア文学翻訳家、元パリ第4大学(ソルボンヌ)、高等師範学校教授。レオン・トルストイの研究者、翻訳者として知られており、他にもアレクサンドル・ソルジェニーツィンやボリス・パステルナーク、ミハイル・バフチンなど、旧ソヴィエト時代の作家と批評家たちの作品の翻訳も数多く手掛ける。著書に、『レオン・トルストイ――ロシアの偉大な魂(Léon Tolstoï, La grande âme de la Russie)』(ガリマール、2010年)、『ロシア・フォルマリズム』(桑野隆・赤塚若樹訳、白水社文庫クセジュ、1996年)などがある。
訳:矢野 卓
1975年千葉県生まれ。トゥールーズ・ル・ミライユ(現・ジャン・ジョレス)大学文学部第二課程修了、ナント大学文学部第三課程修了。博士(文学)。専攻は比較文学とフランス20世紀文学。フランス語通訳者として、2012年からモーリタニア・イスラム共和国に赴任した。

ISBN:9784560510230
出版社:白水社
判型:新書
ページ数:180ページ
定価:1200円(本体)
発行年月日:2018年10月
発売日:2018年10月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AGA