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〈中国の時代〉の越え方

一九六〇年の世界革命から二〇二〇年の米中衝突へ

著:矢吹 晋

紙版

内容紹介

デジタル・レーニン主義の可能性

 「なぜ中国語を第二外国語として選んだのか、中国研究を行う意味は何か」
 1958年の勤評闘争のさなか、のちに国会に突入して亡くなる樺美智子が著者にこう質した。
 スターリン批判の衝撃を受けて、一国社会主義革命ではなく「世界革命」が時代の旗幟になっていた時代である。若き著者は「世界革命」には馴染めず、「日中戦後処理」に傾く。そうした見方を教えてくれたのが石橋湛山だった。東洋経済の記者となり、湛山の謦咳に接して、著者の中国観の骨格が形作られた。
 中国衰退論から中国脅威論まで、勃興する隣国に対する眼差しはどこか歪んでいる。たしかに社会主義中国には首肯しがたい出来事が多い。
 一方、「改革開放」へ舵を切り、世界第二の経済大国となった中国が眼前に屹立している。単に経済だけでなく、QRコード、5G、量子はじめ、中国は科学技術の最先端国でもある。そしてそれは政治面では〈デジタル・レーニン主義〉の相貌を持って現れつつある。
 パクス・シニカの時代をいかに乗り越えていくか? その先にあるものは何か? 透徹した眼差しで未来を捉えた新たな社会主義論!

著者略歴

著:矢吹 晋
1938年生まれ。東大経済学部卒業。在学中、駒場寮総代会議長を務め、ブントには参加しなかったものの、西部邁らは親友。安保闘争で亡くなった樺美智子は先輩。東洋経済新報記者、アジア経済研究所研究員、横浜市大教授などを歴任。著書に『文化大革命』、『毛沢東と周恩来』(以上、講談社現代新書)、『鄧小平』(講談社学術文庫)、『文化大革命――〈造反有理〉の現代的地平』、『六四と一九八九』(以上、共著、白水社)他。

ISBN:9784560097663
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:234ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2020年08月
発売日:2020年08月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPC