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イギリス近代の中世主義

著:マイケル・アレクサンダー
訳:野谷 啓二

紙版

内容紹介

国家の歴史観とアイデンティティの変化

 本書は、18世紀半ばに始まり文学・政治・宗教・建築・絵画の領域に広がった、過去を回復し新たに中世に範を求める動きを、文学に現れた変化を縦軸としてたどるイギリス文化史である。
 1666年のロンドン大火災で焼失したゴシック様式のセント・ポール主教座聖堂は、古典古代に由来する近代様式で再建されることになった。ところが、1834年に国会議事堂が焼失すると、庶民院はこれを「国民様式」で再建すべし、それは「ゴシックあるいはエリザベス時代様式」である、と規定した。中世に対する見方の、この革命的変化はなぜ、そしてどのように起こったのか。
 従来はゴシック・リヴァイヴァルの建築の分野でもっぱら語られてきたこのテーマを、本書ではヴィクトリア女王の治世の数世代前から数世代後まで、内容はスコット、テニスンら多数の作家、ピュージン、ロセッティ、モリスやラスキンをはじめとするラファエル前派をめぐる人々、ディズレリ、青年イングランド派、オックスフォード運動、ニューマンら、諸芸術を超えて社会と宗教に関する新しい理想の誕生まで、より包括的な考察を行なっていく。

著者略歴

著:マイケル・アレクサンダー
1941年生まれ。オックスフォード大学卒業、プリンストン大学大学院修了。セント・アンドルーズ大学名誉教授。主要著訳書=Beowulf: A Verse Translation (1973, revised 2001)、The Poetic Achievement of Ezra Pound (1979)、A History Of English Literature (2000, 2007, 2013)、Reading Shakespeare (2013)
訳:野谷 啓二
1956年生まれ。上智大学大学院文学研究科博士前期課程修了。博士(文学)。神戸大学国際文化学研究科教授。主要著訳書=『イギリスのカトリック文芸復興』(南窓社)、『オックスフォード運動と英文学』(開文社)、N・タナー『新カトリック教会小史』(教文館)ほか。

ISBN:9784560097533
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:434ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2020年10月
発売日:2020年10月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DDU