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オリュンポスの神々の歴史

著:バルバラ・グラツィオーシ
監訳:西村 賀子

紙版

内容紹介

崇拝対象から、想像力そして創造力の象徴へ
 本書は古代ギリシアからルネサンス、そして20世紀まで、興味深いエピソードをまじえつつ、神々の数千年にわたる時間・空間の旅と変容の跡をたどる。
 アルカイック期、デルポイの神託が「当たる」理由は、当時のギリシア世界の地形や人々の移動と関係があった。古典期アテナイでは、オリュンポスの神々は人間の自治能力をめぐる討議で主役を演じた。アレクサンドロス大王の征服の旅とともに、神々はときには人間のライバルとなり、また芸術の中で「年を取る」ようにもなる。ローマ人は自らの神々がありながら、ギリシアの神界を丸ごと移植するという、古代世界ではきわめて特異な選択をした。イスラーム支配下で神々は科学と結びつき、また地域の神々と混淆して、盗人の神から学者の守護者へと変貌したヘルメスのように、新しい性格をもつようになる。ルネサンス期には、オリュンポスの神々は人間性への新たな信念を伝える使節となる。そしてロマン派の時代、神々はまた新たな力をふるう――
 キリスト教やイスラームのもとでも滅びることのなかった神々は、どこから来てどこへ行くのか。

著者略歴

著:バルバラ・グラツィオーシ
イタリアのトリエステ出身。オックスフォード大学コーパス・クリスティ・カレッジで人文学を学び、1995年に最優秀で卒業。翌年、同カレッジにて修士号、ケンブリッジ大学より博士号取得。現在はイングランド北東部のダラム大学古典学教授および芸術・人文学高等研究所所長。Inventing Homer: Early Reception of Epic . Cambridge U.P. 2002など、ホメロスの研究と受容に関する著書複数あり。
監訳:西村 賀子
京都大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程修了(西洋古典文学専攻)。ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ古典学科客員研究員などを経て、現在、和歌山県立医科大学教授。おもな著訳書は『ギリシア神話――神々と英雄に出会う』(中公新書)、『ホメロス 『オデュッセイア』――〈戦争〉を後にした英雄の歌』(岩波書店)、アリストパネス『女の議会』(『ギリシア喜劇全集』(岩波書店)所収)、『エレゲイア詩集』(京都大学学術出版会)など。

ISBN:9784560095171
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:330ページ
定価:3700円(本体)
発行年月日:2017年02月
発売日:2017年02月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRS