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て/夫婦

著:岩井 秀人

紙版

内容紹介

わたしたちの「ち」をめぐる悲喜劇

 〈この頃の彼は、傍から見ると崖縁を伝って歩くようで、私はハラハラしながら、いつ落ちるか、こちら側へ戻ってくるのか向こう側へ落ちて精神的に病むようになるのかと思い、自力で戻って来るのを祈りつつ待つほかなかった〉(本書所収・岩井通子氏エッセイ『みる』より)。
 父親からの理不尽なDVに苛まれてきた四人兄妹とその母親。祖母の認知症をきっかけに再集合した彼らが、過去の関係を清算しきれずに、さらに大爆発するさまを描ききった「スーパー家族劇」(『て』)。/大学病院の外科医だった夫を肺がんで亡くした妻とその子供たちが、家族の真実にめざめてゆく、せつないのに不思議な可笑しみのある「ドキュメンタリー演劇」(『夫婦』)。
 ひきこもり経験をもつ劇作家が、自らの家族の実話を息子・母と視点を変え2周する構造で描いた『て』から10年! 血族の暴君だった父の死をめぐる『夫婦』で一家の物語が完結──父権的なハラスメントに壊されてしまった家族の再生を、笑いとともに物語るという奇跡! 人気劇団ハイバイ主宰による「私戯曲」傑作集。巻末に特別付録(あとがきにかえて、母からのエッセイ、歴代の上演記録・舞台写真)を収録。

著者略歴

著:岩井 秀人
1974年6月25日生まれ。2003年ハイバイを結成。2007年より青年団演出部に所属。 東京であり東京でない小金井の持つ「大衆の流行やムーブメントを憧れつつ引いて眺める目線」を武器に、家族、引きこもり、集団と個人、個人の自意識の渦、等々についての描写を続けている注目の劇団ハイバイの主宰。2012年NHKBSプレミアムドラマ「生むと生まれるそれからのこと」で第30回向田邦子賞、2013年「ある女」で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。代表作「ヒッキー・カンクーントルネード」「おねがい放課後」「て」(韓国で3回再演され、第38回ソウル演劇祭で3冠を受賞)。

ISBN:9784560094204
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:176ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2018年08月
発売日:2018年08月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ