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内なる亡命日記 ナチ政権下の日々1933-45

著:ヘルマン・シュトレザウ
編著:ペーター・グラーフ
編著:ウルリッヒ・ファウレ

紙版

内容紹介

本書は、「マルクス主義的活動」を理由にベルリン市立図書館司書の職を解雇された後、作家、英米文学翻訳家として活躍した文人が残した、貴重な一次史料だ。著者は共産主義の活動家でも前線の兵士でもなく、市井の「意図的傍観者」の立場を貫き、戦前から終戦までの12年間、ナチ政権と日々の出来事に毅然とした視線を向けてきた。
文学を語らい、室内楽を奏で、自然に親しむといった私的な記録だけでなく、新聞、ラジオ、人々の噂を冷静に分析し、戦況を注視し、為政者に対する失望と嘆き、彼らへおもねる同僚への憤懣を漏らす。ヒトラーやゲッベルス、御用学者に対する忌憚ない批判は見事に的を射ている。空襲の恐怖や食糧難も深刻だ。
著者は「戦争に向かっていく、いやな予感がする」と1933年11月に記し、大半の国民は政権に対して首を横に振り、政治家の言動に憤っているというのに、なぜ暴走を止められないのかと、もどかしさを感じている。そして、市民の密告者的性質、出世志向、打算的従順を指摘し、同調圧力や戦時統制の厳しさに多くが屈していく姿を描く。
読者は、今を生きる私たちが、戦前のドイツと似た状況に置かれていることを痛感するだろう。

目次

 はじめに
 編集者による序
 初版への序言
 凡例
一九三三年
一九三四年
一九三五年
一九三六年
一九三七年
一九三八年
一九三九年
一九四〇年
一九四一年
一九四二年
一九四三年
一九四四年
一九四五年
 訳者あとがき

著者略歴

著:ヘルマン・シュトレザウ
1894年、ドイツ人両親のもとに、米国ミルウォーキーで生まれた。1900年に両親、姉とフラ
ンクフルトへ移住、1915年にドイツ国籍を取得すると兵役に志願、第一次世界大戦に従軍し
た。のちに美術史、哲学、歴史学を修め、1929年から33 年まで、ベルリンの市立図書館に勤
務したが、「マルクス主義的活動」を理由に解雇された。1939年、妻とともにゲッティンゲ
ンへ移住。以後、戦中、戦後を通して、1964年に死去するまでフリーのジャーナリスト、小
説家、編集者、評論家、英米文学翻訳家(ウィリアム・フォークナー作品など)として活動
した。ドイツペンクラブ会員、ドイツ語ドイツ文学アカデミー会員、ニーダーザクセン州作
家連盟名誉会長を務めた。

ISBN:9784560093962
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:538ページ
定価:7000円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNP