「イスラム国」の内部へ
悪夢の10日間
著:ユルゲン・トーデンヘーファー
他訳:津村 正樹
紙版
内容紹介
本当に「国」なのか
IS、「イスラム国」はなぜ生まれ、どうして正視に耐えない殺戮を繰り返すのか。
ヨーロッパ出身者がISに魅力を感じ、戦闘員となる経緯について、著者はかれらと何十時間にわたる対話を続け、その母親とも面会するなかで、戦闘員たちの心の内面を浮かび上がらせていく。その後、カリフの許可を得て西側ジャーナリストとして初めてIS領内に滞在し、そこに暮らす戦闘員や警官、医師や裁判官、一般の人々に同じ問いを繰り返す。この「国」が本当にイスラームなのか。アンチ・イスラームではないのか。
一方で、西欧への批判的な眼差しも忘れない。イラク戦争の落とし子であるISに比べ、西側諸国の攻撃は犠牲者の数で言えば、それ以上に残忍なテロリズムと認めざるを得ない。ISが「イスラーム教のテロリスト」ならば、ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ブレアたちは「キリスト教のテロリスト」なのか。
外側と内側を知る著者の言葉は重く響きわたる。「新たなテロリズムを生み出さずにアラブのテロリストと闘うことができるのは、アラブの人々だけである」
原著はドイツで刊行以来ベストセラー。IS領内の写真を多数掲載。