出版社を探す

エクス・リブリス

よそ者たちの愛

著:テレツィア・モーラ
訳:鈴木 仁子

紙版

内容紹介

ドイツ語文学の最高賞、ビューヒナー賞受賞作家による短篇集

 この世界になじめないよそ者(エイリアン)たち――。孤独や言い知れぬ閉塞感を抱えながら、都市の片隅で不器用に生きる人々。どこにでも、誰のなかにも存在する〈よそ者〉たちの様々な思いを描く。
 「エイリアンたちの愛」:コック見習いのティムはサンディと暮らすようになって、もう彼女なしの人生は考えられない。ティムを息子のように案じる上司のエヴァは苦々しく思いつつも、若い二人を放っておけない。ある日、二人で海に行ったはずのティムが泣きながらエヴァに電話をよこす――サンディが消えてしまった、と。
 「森に迷う」:ホテルマンのペーターは30歳、親の世話をしながら、人との交際をすっかり断って静かな生活を送っている。楽しみは仕事の行き帰りに車のミラー越しに朝陽と夕陽を見ることだけ。ひそかに想いを寄せている腹違いの姉と再会したある日、暮らしも順調で快活な姉は弟にもっと野心的になれと促すが……。
 変幻自在でかろやかな語りが、不思議な感興を呼び起こす。ハンガリー系ドイツ語作家による、ほろ苦くも胸に沁みる10の物語。ブレーメン文学賞受賞作品。

著者略歴

著:テレツィア・モーラ
1971年、オーストリア国境に近いハンガリーの町ショプロン生まれ。ドイツ語を話すマイノリティの家庭で、ハンガリー語・ドイツ語の二か国語を母語として育つ。ベルリンの壁解放後の1990年にドイツに移住、フンボルト大学で演劇学とハンガリー文学を修めたのち脚本家の修練を積む。デビュー作の短篇集『奇妙なマテリアル』(1999年)中の一篇でバッハマン賞、初の長篇『日々』(2004年)でライプツィヒ・ブックフェア文学賞、長篇三部作の長大な第二作『怪物』(2013年)でドイツ書籍賞など、多数の文学賞を受賞。さらに2018年、作家としての活動に対しドイツ語文学の最高賞であるビューヒナー賞が与えられた。本作『よそ者たちの愛』もブレーメン文学賞を受賞している。ハンガリー文学のドイツ語翻訳者としても高名。
訳:鈴木 仁子
1956年生まれ。名古屋大学大学院博士課程前期中退。椙山女学園大学教員。翻訳家。主要訳書:ベーレンス「ハサウェイ・ジョウンズの恋」ゲナツィーノ「そんな日の雨傘に」ゼーバルト「アウステルリッツ」「移民たち」「目眩まし」「土星の環」「空襲と文学」「カンポ・サント」「鄙の宿」(以上、白水社)

ISBN:9784560090619
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:276ページ
定価:2900円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年03月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB