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中国 消し去られた記録

北京特派員が見た大国の闇

著:城山 英巳

紙版

内容紹介

人が突然、しかも次々消えてゆく
 《「パパはどこに行ったの」……
私は「パパは出張したのよ」と言うしかありません》
 中国では今、人が突然、しかも次々消えてゆく事態が問題化している。習近平体制が発足して以降、「文革」以来と言われる苛烈な言論弾圧が社会の隅々に行き渡っているためだ。
 本書は、ボーン・上田賞、アジア・太平洋賞特別賞を受賞するなど、当代を代表する北京特派員が、10年に及ぶ現地取材の集大成として世に問うものである。
 特派員生活を続ける中で、著者は取材対象や友人が次々と消えてゆく現実に直面する。そして、残された家族の悲嘆やそれでも厳しい現実に対峙しようとする言論人の怒りに寄り添い、一本一本の記事を世界に向けて配信してきた。
 未曾有の繁栄に翳りも見えてきた大国では今、一体何が起きているのか? 内外の中国通も口をつぐむ過酷な現実はどうすればありのままに伝えることができるのか? 500ページを超える本書はこの間、隣国で起きたことのすべてを淡々と、かつ雄弁に語っている。中国社会の矛盾を抉り出したノンフィクションの金字塔。

目次

地図
主要登場人物
まえがき

Ⅰ 英雄
 第一章 「六四」
 第二章 労働教養制度
 第三章 言論の自由
 第四章 毛沢東
 第五章 日本
 第六章 文字獄

Ⅱ 反日
 第七章 北京・日本大使館前
 第八章 マオイスト
 第九章 新たな日本観

Ⅲ 代償
 第十章 「七・九」事件
 第十一章 「新公民運動」
 第十二章 南方週末事件
 第十三章 闘士

Ⅳ 奇跡
 第十四章 「盲目の人権活動家」
 第十五章 脱出
 第十六章 迷い
 第十七章 渡米

Ⅴ 暗黒
 第十八章 陳情者
 第十九章 新疆ウイグル
 第二十章 チベット
 第二十一章 エイズ

あとがき
年表

著者略歴

著:城山 英巳
1969年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、時事通信社に入社。社会部、外信部などを経て、現在、二度目の中国総局(北京)特派員。中国での現地取材は十年に及ぶ。2011年に早稲田大学大学院修士課程を修了。『中国共産党「天皇工作」秘録』(文春新書)でアジア・太平洋賞特別賞(2010年)、戦後日中外交史の調査報道などで、優れた国際報道に与えられるボーン・上田記念国際記者賞(2013年度)を受賞。著書に『中国臓器市場』(新潮社)、『中国人一億人電脳調査』(文春新書)がある。

ISBN:9784560084922
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:540ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2016年04月
発売日:2016年05月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:NH