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フランス・ルネサンス文学集 2

笑いと涙と

他編訳:宮下 志朗

紙版

内容紹介

 日本では渡辺一夫、関根秀雄といった碩学の出現によってフランス・ルネサンスの文学は一定の知名度を獲得している。しかしながら、一般の読者にとって、モンテーニュ、ラブレーという二大作家以外の作品に接する機会はきわめて限られている。
 この時代、まだ近代的な意味での「文学」は存在していない。狭義の意味での文学が出現したのは、18世紀であって、ルネサンスの時代にあっては、文学はもっと太い幹をなしていた。それは狭義の文学のみならず、歴史・哲学・地理学、さらには医学や数学までも含んでいた。レオナルド・ダ・ヴィンチをイメージすればいいだろう。つまりは様々な人間が、様々な事柄・主題について、自由奔放に書きつづっていた。
 そこで本集では、狭義の「文学」に閉じこもることなく、ルネサンスのエクリチュールの豊饒にして広大な地平を俯瞰し、その全貌をうかがい知ることができるような作品構成を心がけた。
 第2巻には、物語や対話篇などのフィクションと恋愛詩、宗教詩などの韻文を収録して、哄笑、悲嘆、愛情から、憤怒に至るまでの、豊かな情感の表出を味読できるように努めた。

目次

 まえがき

〈散文〉
ノエル・デュ・ファイユ『田園閑話』(荻野アンナ訳)
ルイーズ・ラベ『フォリーとアムールの諍い』(宮下志朗訳)
ピエール・ボエスチュオ『驚倒すべき物語』(抄)(平野隆文訳)
ギヨーム・ブーシェ『夜話集』(抄)(鍛治義弘訳)
フランソワ・ド・ロセ『悲劇的物語』(抄)(平野隆文訳)

〈韻文〉
ジョアシャン・デュ・ベレー『哀惜詩集』(田中聰子訳)
ニコル・エチエンヌ『結婚した女の悲惨』(伊藤進訳)
クレマン・マロ『クレマンの青春』(抄)(伊藤進訳)
マルグリット・ド・ナヴァール『シャンソン・スピリチュエル』(抄)(篠田勝英訳)
ピエール・ド・ロンサール「哲学の讃歌」(岩根久訳)
フィリップ・デポルト『初期作品集』(抄)(濱田明訳)
ギヨーム・ド・サリュスト・デュ・バルタス『聖週間、あるいは天地創造』(抄)(岩根久訳)
アグリッパ・ドービニェ『悲愴曲』(抄)(濱田明訳)

 解説 伊藤進
 書誌

著者略歴

他編訳:宮下 志朗
1947年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。放送大学教授、東京大学名誉教授。主要著訳書:『本の都市リヨン』(晶文社)、『読書の首都パリ』(みすず書房)、『神をも騙す』(岩波書店)、ラブレー《ガルガンチュアとパンタグリュエル》全5 巻(ちくま文庫)、モンテーニュ『エセー抄』(みすず書房)、同『エセー』全7 巻(白水社、刊行中)など。

ISBN:9784560084861
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:604ページ
定価:7200円(本体)
発行年月日:2016年02月
発売日:2016年02月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNT