金日成と亡命パイロット
著:ブレイン・ハーデン
訳:高里 ひろ
紙版
内容紹介
脱出計画に5年半、飛行時間は17分
朝鮮戦争の休戦協定が締結された直後の1953年9月、朝鮮人民軍のパイロット、盧今錫(ノ・クムソク)中尉の操縦するミグ15戦闘機が軍事境界線を越え、突如、韓国の金浦空軍基地に着陸。北朝鮮軍の現役パイロットが亡命したというニュースは、瞬く間に世界中を駆け巡った。
本書は、のちに渡米し、アメリカの市民権を得る盧今錫の半生と、抗日ゲリラから北朝鮮の最高指導者となり、独裁体制を確立して「偉大なる首領」と呼ばれるようになった金日成の成り上がりぶりを並行して描いたノンフィクションである。本書で主に描かれるのは、金日成が抗日パルチザンとして頭角を現しはじめた1938年から、第二次世界大戦を経て朝鮮戦争休戦に至るまでの間。一人の亡命者の足跡を主眼として、北朝鮮の欺瞞に満ちた成立過程を描いた現代史の記録ともいえる。
金日成のなりふり構わぬエゴと指導者としての無能ぶりに加え、米中ソのパワーゲームの駒にされながらも、逆にそれを利用して独裁を確立しようとするしぶとさが際立つ。
新たに公開された資料や証言によって数々のエピソードを積み重ね、冷戦期における巨頭たちの思惑と一亡命者の数奇な運命を重層的に描いた傑作。
ISBN:9784560084847
。出版社:白水社
。判型:4-6
。ページ数:320ページ
。定価:2400円(本体)
。発行年月日:2016年05月
。発売日:2016年05月28日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNB。