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白水uブックス 205

南十字星共和国

著:ワレリイ・ブリューソフ
訳:草鹿 外吉

紙版

内容紹介

革命前夜のロシアに咲いた暗黒の幻想
 南極大陸に建設された新国家の首都〈星の都〉で発生した奇病〈自己撞着狂〉。発病者は自らの意志に反して愚行と暴力に走り、撞着狂の蔓延により街は破滅へと向かう――未来都市の壊滅記「南十字星共和国」。15世紀イタリア、トルコ軍に占領された都市で、スルタン側近の後宮入りを拒んで地下牢に繫がれた姫君の恐るべき受難と、暗闇に咲いた至高の愛を描く残酷物語「地下牢」。夢の中で中世ドイツ騎士の城に囚われの身となった私は城主の娘と恋仲になるが……夢と現実が交錯反転する「塔の上」。革命の混乱と流血のなか旧世界に殉じた神官たちの死と官能の宴「最後の殉教者たち」など、全11篇を収録。20世紀初頭、ロシア象徴主義を代表する詩人・小説家ブリューソフが紡ぎだす終末の幻想、夢と現、狂気と倒錯の物語集。アルベルト・マルチーニの幻想味溢れる挿絵を収録。

目次

序文
地下牢
鏡の中
いま、わたしが目ざめたとき……
塔の上
ベモーリ
大理石の首
初恋
防衛
南十字星共和国
姉妹
最後の殉教者たち
解説

著者略歴

著:ワレリイ・ブリューソフ
1873年、モスクワで生まれる。1890年代、モスクワ大学在学中にフランス象徴派やE・A・ポーの詩の翻訳を手がけ、詩文集『ロシア・シンボリスト』全3巻を刊行。その後、詩集『傑作』『これが私だ』『第三の夜衛』などを出版、文芸誌《ヴェスイ(天秤座)》の編集主幹として、ロシア象徴主義運動を牽引する存在となる。小説に短篇集『地軸』(1907:増補版1911)、長篇『炎の天使』(1908)、『勝利の祭壇』(1913)など。『炎の天使』は後にセルゲイ・プロコフィエフによりオペラ化された(1927完成、54初演)。ロシア革命成立後も国内に留まり、1924年死去。
訳:草鹿 外吉
1928年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。日本福祉大学教授。ロシア文学者・詩人・小説家。1993年没。著書に『草鹿外吉全詩集』(思潮社)、『ソヴェト文学と現代』(光和堂)、『灰色の海』『海よさらば』(新日本出版社)、訳書にプーシキン『プガチョーフ叛乱史』(現代思潮社)、ソコローワ『旅に出る時ほほえみを』(サンリオ)、『エフトゥシェンコ詩集』『マヤコフスキー詩集』(飯塚書店)他。

ISBN:9784560072059
出版社:白水社
判型:新書
ページ数:266ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2016年03月
発売日:2016年03月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB