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人生を変える最強の食事習慣―『時間栄養学』で「健康」「成功」を手に入れる

著:大池 秀明

紙版

内容紹介

2017年に「時計遺伝子」の研究がノーベル賞を受賞。それから、食品をいつ食べるかについての栄養学(時間栄養学)に注目が集まった。日本でも注目が集まっており、「週刊文春」(2019年1月3日・10日号 新年特別号)では記事で大きく取り上げている。

著者は東京大学大学院卒業後、現在、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構/上級研究員。東京大学等で非常勤講師を務め、時間栄養学の講義をしている。著者は本書で最新の時間栄養学による研究成果を豊富に披露している。特に【朝食を食べる習慣】と、「学校の成績」「体力」「入学した大学」「入社した企業」「年収」に相関関係があるとの調査結果には驚かされる。

 最近、高齢者が加齢に伴い筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」が問題になっている。その対策には筋肉を使い、栄養(とくにタンパク質)を十分に摂取するのが基本。タンパク質の摂取は朝・昼・夕と平均的に摂取した方が効果が高いことが分かっているので、一般的な「朝は軽くて夕食はしっかり」ではなく、タンパク質が不足しがちな朝に積極的に摂取することを勧めている。
その朝のタンパク質源として著者は【魚肉ソーセージ】を推薦する。それはやはり時間栄養学の研究成果による。魚油は中性脂肪を抑える効果が認められているが、その効果は夜に摂取するよりも朝に摂取した方が高いことが分かっているという。マウスの試験でも、ヒト試験でも、朝に摂取した方が中性脂肪を抑える効果が高く、血中のDHA(ドコサヘキサエン酸)の量も朝食で摂取した方が高くなったという。

本書では【朝食の重要性】を繰り返し訴えており、「第2章」のタイトルでは『朝食』が人生の分岐点」とまで言っている。そして、それを証明する結果を多く提供している。いくつかの実験で「夕食量を減らしたグループの方が体重が沢山減る」「朝ごはんを食べない人に肥満者が多い」「夜食を食べる人に肥満者が多い」ということが報告されている。そうした【肥満】の問題に対してはその処方箋も示している。

 本書の目的は「同じものを食べるにしても【いつ食べるか】という視点があるかないかで、将来の健康や日々のパフォーマンスには大きな差が出ますよ」と伝えることと著者は言う。ぜひ本書を読者の今後の実りある人生のために役立てていただきたい。

 また本書では、【時間栄養学を利用して健康になる方法】を豊富に紹介するとともに、図の原典を示し(巻末の資料編)、そこから調べることもできるようになっている。実用性だけでなく、研究者にも利用できる研究書と言えよう。

 2019年5月24日に初版刊行後、マスコミでも注目を集め、「週刊文春」「日経トレンディ」など多くの雑誌で紹介され、あらためて時間栄養学への関心の高さを感じさせる。

目次

序章 はじめに
体内時計のハーモニー
トップアスリートの時計
なぜ体内時計がそれほど重要なのか?
本書の構成

第1章 「食べる時間」だけで体重は変わる
もはや栄養学の常識は通用しない
肥満はカロリーでは決まらない
解説:カロリー
時差ぼけは太る
やっぱり夜食は太る
夜の身体はカロリーを燃やしてくれない
体温は体内時計に従っている
基礎代謝にも24時間リズムがある
現代人の肥満の原因は?
病気になる食生活リズム

第2章 「朝食」が人生の分岐点
朝ごはんを食べない子供は成績が悪い
朝食で記憶力がアップする
体内時計をリセットする食事
朝食がやる気を生む
朝食習慣が学歴を変えてしまう
朝食習慣は将来の年収にまで影響している
成長した後の朝食習慣に効果はあるのか?
朝食は国として推奨している
健康日本21
朝食欠食を改善させたい国の努力
大学の100円朝食がすごい
コラム:朝食のすすめ

第3章 時間栄養学から組み立てる「黄金の食事法」
アプリによる食べる時間の管理
週7日間、毎日実行する必要があるのか?
朝食には炭水化物とタンパク質
朝食でサルコペニアを防ぐ
朝の魚肉ソーセージは金
前の晩に遅くまで食べてしまったら
夕食が遅い人は分食すべし
血糖値をコントロールする
◇24時間の血糖モニタリングとスパイク
◇食べる時刻と血糖値
◇食べる順番と血糖値、そして、セカンドミール効果
◇おやつも有効活用できる
体内時計を動かす食べもの
◇脂肪が体内時計をおかしくする
◇塩は身体の時計を早起きさせる
◇時計のリセットを強化する魚油とインスリン
◇朝のコーヒー習慣で体内時計をリセット
◇シナモンで時計を早める
◇香りで体内時計を手助け
◇セリンは朝型化の救世主
実践編:朝・昼・晩。何をどのように食べたら良いのか?

特別章① 体内時計と代謝をリセットする食事法「インターミッテントファスティング」
食事時間だけで寿命は延ばせる
インターミッテントファスティングはがんを減らす
超朝型生活による代謝のリセット

第4章 体内時計って何者?
サーカディアンリズム
2017年のノーベル賞は「時計遺伝子」
ハエからヒトまで5億年
体内で24時間が生まれる仕組み
体内時計が時刻を合わせる仕組み
マスターの時計は光で決まる
身体の時計は食事で決まる
身体の時計をひっくり返す
ヒトの時計も食事次第
夜行性と昼行性の違い
身体の部位によって時計は違う

第5章 不調の原因は「時差」にある
身体の中で時差が生まれるから太る
記憶も体内時計に支配されている
記憶力が高い時間はいつ?
食生活がおかしいと学習能力が下がるマウス
問題は脳内の時差にある
時差ぼけで学習能力が低下する実験動物たち
国際線の客室乗務員は脳機能が低下する?
シフトワークによる認知機能の低下問題
社会的時差ぼけ
◇社会的時差ぼけと肥満
◇社会的時差ぼけと学業成績
夜型生活はどのくらいやばいのか?
コラム:サマータイムはダメでしょ
◇サマータイムに反対する科学者の声
体内時計に合わない生活で早死にする
時差ぼけ治療薬が早死にを救う
体内時計で妊活する
特別章② 睡眠と体内時計
眠くなる時刻は体内時計が決めるのか?
ヒトの自然な眠りとは~原始生活民族の睡眠~
睡眠ホルモンのメラトニンをコントロールする
お腹がすき過ぎると眠れない
良い眠りのための6か条 +α

第6章 体内時計コントロールのポテンシャルは無限大
アスリートの時計コントロール
大事な試験前こそ時計コントロール
病気には時刻表がある
ウイルスと戦う時刻
注射を打つのは何時が良い?
その傷は夜の傷?
時間治療と時間薬理
◇抗がん剤の投与時刻で生存率が変わる
◇抗生物質の副作用を軽減する時刻
血圧も24時間リズムが大事
体内時計を早めてレタスを育てる
生殖季節も体内時計が決めている

第7章 超実践編:自分のリズムを測ろう
睡眠/活動のリズムをスマートに測る
自分のクロノタイプを知ろう
夜型人間のための夜型生活
食生活パターンを「見える化」する
睡眠や体内時計をコントロールするためのデバイスやサービス

終わりに

資料編:時間栄養学をもっと勉強したい人のために

著者略歴

著:大池 秀明
時間栄養科学研究会 発起人/幹事
東京大学卒業、東京大学大学院博士(農学)。
東京大学大学院リサーチフェロー、ウィスコンシン大学マディソン校客員研究員を経て、現在、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構/上級研究員、国立研究開発法人産業技術総合研究所/客員研究員。東京大学、中央大学、明治大学、日本大学等で非常勤講師を務め、時間栄養学の講義をしている。
「食と健康」を専門として、体内時計と老化の観点から研究を展開。時間栄養学の研究により、2016年に日本農芸化学会奨励賞、2017年に若手農林水産研究者表彰を受賞。

ISBN:9784541042897
出版社:農林統計協会
判型:4-6
ページ数:248ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2019年05月
発売日:2019年05月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:MBN