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多年生雑草対策ハンドブック

叩くべき本体は地下にある

著:伊藤 操子

紙版

内容紹介

温暖化、CO2濃度上昇などで雑草の勢いは増すばかり。大型雑草が猛威を振るい、畦畔・法面・耕作放棄地・公園・河川敷・堤防・道路・鉄道などで大問題になっている。地下に栄養繁殖器官(根茎、クリーピングルート、短縮茎)をもつ多年生雑草だ。しかし、多くの人は多年生雑草の本体である地下部のことをほとんど知らず、不適切な管理で雑草を増やしている。慣例化している年2回の草刈りで萌芽や初期生育を促すなどは、その最たるものだ。地下部からの再生を阻止するには、地下部を理解し、人間の管理の仕方に雑草がどう反応しているかを知ることが不可欠だ。本書は、多年生雑草(特に地下部)の生理生態を明らかにし、それを踏まえた効果的な対策(草刈り、耕起、除草剤、防草シート、被覆植物など)を示す。さらに、問題草種ごとに写真と地下部イラストを掲載し、生態と管理法を詳しく解説する。類書がなく、農村都市を問わず、生活圏全体の雑草対策に役立つ。

目次

まえがき

Ⅰ.生活圏の雑草状況―悪化する植生
 1.深刻化する雑草問題
 2.対策が必要な場面は多種多様
 3.主な対象雑草は多年生
 4.近年やっかいな雑草が増え続けている原因
  1)直接的要因―雑草地の増加、草刈りなど
  2)間接的要因―温暖化、CO2濃度上昇など

Ⅱ.多年生雑草とは―やっかいな特性
 1.生活サイクルと繁殖戦略
 2.基本構造とタイプ―拡張型と単立型
 3.地下拡張型の特徴
  1)地下部の基本構造
  2)地下器官系の大きさと土中分布
 4.再生のしくみ
 5.栄養繁殖・拡散のしくみ

Ⅲ.雑草管理の基本とは―踏むべき手順
 1.目的の設定―何が問題か
 2.関係要因に関する情報収集
  1)雑草の種類と発生状況
  2)利害関係者
  3)使用できる労力・コスト
  4)管理による環境負荷
 3.プログラムを作成し計画的に

Ⅳ.管理手段その1―機械的手法
 1.刈取り・刈払い
  1)刈取りは何のために行うのか
  2)刈取り回数・時期に関する事例
  3)生長の季節消長からみた刈取り時期
  4)イネ科中心の植生への移行と刈取り
 2.耕起
 3.手取り除草

Ⅴ.管理手段その2―化学的手法
 1.除草剤の利用
  1)多年生雑草の制御に必要な特性
  2)施用法
  3)長期的視野の必要性―処理後の種類の変化
 2.抑草剤の利用

Ⅵ.管理手段その3―地表を被覆する手法
 1.防草シート
 2.植物発生材
 3.地被植物
  1)センチピードグラス
  2)ダイコンドラ
  3)ほふく性タイム

Ⅶ.多年生強害草に対処するには
 1.対処の手順―標的雑草の特定・排除から
 2.各種の特性を知れば対処法がわかる

Ⅷ.主要38種の生態と管理法

■根茎で拡がる
 イタドリ
 オオイタドリ
 セイタカアワダチソウ
 フキ、アキタブキ
 ヨモギ
 ドクダミ
 カラムシ
 ヒルガオ、コヒルガオ
 ハマスゲ
 シバムギ
 セイバンモロコシ
 チガヤ
 アズマネザサ、ネザサ
 ヨシ
 ススキ
 スギナ
 イヌスギナ
 ワラビ

■クリーピングルートで拡がる
 ヒメスイバ
 ヤブガラシ
 ガガイモ
 セイヨウヒルガオ
 ハルジオン
 セイヨウトゲアザミ
 ワルナスビ

■ほふく茎で拡がる
 クズ
 シロツメクサ
 ヘクソカズラ

■短縮茎をもつ
 エゾノギシギシ
 スイバ
 ヘラオオバコ

著者略歴

著:伊藤 操子
兵庫県生まれ。京都大学名誉教授。農学博士。専門は雑草学。同大学大学院農学研究科修士課程修了後、31年間、同大学で雑草学の研究・教育に従事し、樹園地・畑地・緑地などの雑草管理法の構築に努めた。日本雑草学会賞、日本農学賞を受賞。日本雑草学会会長など歴任。著書に『雑草学総論』(養賢堂)他多数。

ISBN:9784540191251
出版社:農山漁村文化協会
判型:B5
ページ数:104ページ
定価:2300円(本体)
発行年月日:2020年09月
発売日:2020年09月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:TVK