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Q&A 障害のある人に役立つ法律知識

著:藤岡 毅

紙版

内容紹介

障害者の権利・人権問題に関する法制度、判例、実務ポイントと、障害者の自立した生活、社会参加を実現するための様々な制度、適切な支援を受けるための方法等について、第一線で活躍する著者がQ&Aでわかりやすく解説する。
障害者差別とは何か、なぜ起こるのか、どうしたらなくすことができるのか、障害、障害者の問題への関心、理解を深める上でも役立つ内容であり、弁護士・法曹関係者や障害当事者・家族、支援者だけでなく、ふだん、障害者の問題に関心のない方にもぜひ読んでいただきたい1冊。

目次

はじめに
本書のねらい
凡例
プロローグ
障害当事者が実際に感じる差別とは
第1章 障害のある人のための法律相談入門
1.「障害の医学モデルから社会モデルへ」
2.自閉症、発達障害とは
3.コラム:自閉症スペクトラムの「スペクトラム」とは?
4.発達障害に関する基本判例
5.重度自閉症者の一般就労の例
6.障害者法律相談にあたっての心構え
7.コミュニケーションに障害のある人からの法律相談
8.聴覚障害の基礎知識
9.視覚障害のある人からの法律相談
10.コラム:「視覚障害者とPDF」
11.障害の定義、種類などの基礎的な知識
12.ノーマライゼーション
13.インクルージョン(社会的包摂)
14.【障害の種類】 制度の谷間の解消の必要性
15.日本にいる障害者の人数
16.障害者手帳制度
17.療育手帳と法の根拠
18.障害者手帳で利用できる制度概略
19.重度自閉症者等の障害者の逸失利益の算定
20.[弁護士費用と障害者相談] 法テラスの活用と課題
21.障害に無理解な代表的判例

第2章 障害者法律相談における基本法令
1.一般的な法令全般
2.この分野の法律相談のために知っておくべき法令
3.憲法と基本的人権保障
4.障害者権利条約とは
5.障害者基本法とは

第3章 障害者差別とは何か
1.障害者差別とは何でしょう
2.障害者差別、人権侵害はなぜ起こるのか
3.「不当な差別的取扱い」の行政上の定義
4.障害者差別の例
5.障害があることを理由にアパートを貸してくれないという事例
6.近隣住民の反対運動
7.公共機関の利用における差別
8.障害者の人格を傷付ける行為

第4章 障害者差別解消のための基本的枠組み
1.障害者差別解消法とは
2.差別の基本類型の整理
3.区別による差別と合理的配慮は矛盾するのか?
4.直接差別と間接差別・関連差別とは
5.個人による差別は法により禁止されているか
6.障害者差別問題理解に必須の国のガイドライン等
7.基本方針の重要ポイント
8.官庁用差別解消ガイドライン(対応要領)の重要ポイント

第5章 合理的配慮を考える
1.合理的配慮の行政上の定義
2.合理的配慮の発生根拠
3.合理的配慮義務の民間事業者への義務化
4.合理的配慮の具体例
5.「合理的配慮」との用語は本質を表しているか?
6.コラム:合理的配慮の起源
7.現行法令の「努力」義務の意味
8.条例の活用

第6章 障害ごとに配慮すべき事項
1.障害特性に応じた対応
2.代表的な障害特性と対応時に配慮すべき事項

第7章 障害者差別を認定した代表的判例
1.障害者差別を認定した代表的判例
2.理解しておくべき重要判例

第8章 はたらく
1.憲法上の人権としての労働基本権
2.雇用促進法の改正の経緯とポイント
3.雇用促進法の根本問題
4.雇用差別禁止の重要ポイント
5.最低賃金減額特例の問題
6.配置・昇進等の場での差別禁止
7.職場での合理的配慮は「本人の申出」が不要!
8.法定雇用率
9.仕事に就きたい
10.従業員が難病になったら
11.パワハラとは。令和2年1月15日厚労省告示第5号
12.障害者雇用に関する重要判例

第9章 保育・教育
1.共に育つことが差別をなくす
2.重度障害児が地域の学校に通う実例
3.国際機関によるインクルーシブ教育の推進
4.地域の学校を希望する場合の書面例
5.保育・教育での障害児の権利に関する判例
6.障害児の学校内での親の付き添い問題

第10章 障害者虐待をなくそう
1.障害者虐待防止法はなぜ必要か
2.障害者虐待防止法の概要
3.虐待を考える場合の心得
4.「虐待」と「差別」の違い
5.虐待行為の類型と定義
6.身体的虐待
7.「正当なる身体拘束」などあるのだろうか?
8.性的虐待
9.心理的虐待
10.ネグレクト虐待(支援の放棄・怠慢)
11.経済的虐待
12.養護者虐待対応の仕組み
13.事業者虐待対応の仕組み
14.事業者虐待の実例その1
15.事業者虐待の実例その2
16.「津久井やまゆり園障害者殺傷事件」
17.使用者虐待における基本的な対応
18.過失による通報が保護されない問題
19.複雑すぎる虐待防止法の関係法令適用
20.一向になくならない精神科病院内での虐待事件
21.虐待通報による不利益
22.虐待が起きた場合、事業者としてどう対応すべきか
23.国、行政の虐待防止義務

第11章 精神に障害のある人の支援
1.精神科病院での面会の権利
2.精神障害ある親の親権者適格
3.精神障害を理由とする離婚
4.精神疾患を理由とする治療拒否
5.精神障害を理由とするスポーツクラブ入会拒否
6.精神科病院での隔離・身体拘束などの行動制限
7.強制入院制度の妥当性

第12章 移動・社会参加、情報保障、司法・立法・行政等へのアクセス
1.障害者の移動する権利
2.視覚障害者の白杖の利用
3.聴覚障害者の運転の自由
4.バリアフリー法
5.ユニバーサルデザイン
6.認知機能障害ある人の裁判申立て
7.文字盤を利用した法廷での発言
8.点字による訴状提出
9.手話通訳派遣制限違憲訴訟とは
10.民事訴訟の当事者の手話通訳費用は誰が負担するべきか
11.民事裁判のIT 化とは?
12.投票用紙等に自署できない障害者の選挙権行使保障
13.障害者の政治参加と情報保障を巡る判例
14.コラム:「2016年5月ALS 参考人招致撤回事件」
15.ケース記録の開示請求

第13章 公的福祉制度を活用して地域で暮らす
1.障害者総合支援法成立の経緯
2.障害者総合支援法の概要
3.補装具利用の権利
4.障害福祉制度利用に関する利用者負担
5.家族の収入に対して負担が課せられる不合理
6.在宅生活を支える介護を受ける権利
7.裁判を起こさないと24時間の介護保障は無理なのか?
8.[65歳問題]介護保険と障害者福祉の関係
9.障害福祉を巡る行政交渉での工夫例
10.障害福祉給付認定のコツ
11.障害支援区分認定における留意点

第14章 家族の支援と「責任」論について
1.扶養義務と家族による介護
2.家族の支援の必要性
3.ヤングケアラー問題
4.周囲の無理解から本人が損害賠償請求される
5.周囲の無理解から家族が損害賠償請求される
6.引きこもりの家族への支援

第15章 難病と医療的ケア
1.難病とは
2.障害者と医療的ケアに関する基礎知識

第16章 所得保障
1.障害者の経済的困窮
2.生活保護と車両保有
3.症状が変わらないのに障害年金が打ち切られた
4.児童扶養手当と障害年金の併給
5.障害年金と診断書
6.行政窓口の誤った説明で年金の権利を失った

第17章 刑事事件に巻き込まれた場合
1.刑事事件に巻き込まれた場合
2.障害ある被疑者の取り調べへの立ち合いは可能か

第18章 支援者(支援機関)・権利擁護システム
1.障害者の支援専門職
2.弁護士と他の専門業種との連携
3.身体障害者の財産管理
4.詐欺被害防止
5.成年後見制度利用と選挙権
6.成年後見と意思決定支援
7.成年後見人の社会保障制度活用義務

第19章 救済方法・救済機関
1.救済方法・救済機関
2.国際人権機関
3.日本の裁判での救済方法の種類
4.法務省の人権救済機関
5.弁護士会の救済機関

第20章 理解を深めるために知っておきたい重要事項等
1.障害者基本法の逐条解説
2.ADA(障害のあるアメリカ人に関する法律)の衝撃
3.障害の「医学モデル」と「社会モデル」に触れた公文書
4.障害者権利条約成立までの国際動向
5.差別解消のための国際的人権救済の例
6.障害者の人権に関する世界的に重要な裁判例
7.世界からみた日本の障害者の人権状況
8.国連から日本への指摘

第21章 多様性を認める
1.多様性の尊重
2.LGBT を巡る判例

第22章 生きることの価値・災害対策
1.『避難行動要支援者名簿』等の課題
2.新型コロナウイルスと障害者の人権
3.「尊厳死」問題と支援者の姿勢
4.「優生思想」とは何か
5.優生保護法違憲訴訟

第23章 お薦めの書籍・文献など
1.障害者の法を巡る書籍
2.実務に役立つハンドブック・サイト等
3.当事者・家族等の書いた本
4.お薦めのノンフィクション、社会問題に関する書籍等
5.お薦めの新書
6.お薦めのコミック
7.お薦めの映画
8.お薦めの小説
9.社会保障入門書
10.法律専門書
11.法律雑誌(障害関係特集号)
12.法律雑誌(憲法・行政法等の公法系の一般知識)
13.医療福祉人権関係雑誌等
14.判例集
15.その他

判例索引・語句索引
1.判例 索引
2.語句索引
あとがき

ISBN:9784539728697
出版社:日本法令
判型:A5
ページ数:536ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2021年12月
発売日:2021年12月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS