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組織再編税制の失敗事例

著:佐藤 信祐

紙版

内容紹介

平成13年度に導入された組織再編税制も、約20年間における税制改正により、定着してきているように思われますが、一方で失敗事例もいくつか出てきています。
適格組織再編の実行にあたってはいくつものハードルをクリアする必要があるため、複雑なスキームを実行してしまった結果、大きなミスをしてしまう、というケースを想定しがちです。
しかし、実際の組織再編の現場では、失敗事例のほとんどが、顧問税理士などの単純なミスで、それゆえに税務当局と見解を争うわけにもいかず言い訳ができません。
本書は、著者自らが体験した組織再編の失敗事例や過去の裁判例等から現時点の法令上も有効なものを集め、誤りがちなポイントを抽出し、その防止策を示していきます。
組織再編成の税務に関わる実務家に役立つ1冊です。 

目次

1章 M&A・組織再編成に係る税務でミスを防ぐために
 1 概 要
 2 最近の傾向
 3 知人からの紹介のリスク
 4 M&A・組織再編成に係る税務の特徴
 5 組織再編税制を勉強するうえでの心がけ
 6 簡単な仕事ほどミスをしやすい

第2章 M&A・組織再編成に係る税務の概要
第1節 租税法の基礎知識
 1 法 人 税
 2 所 得 税
 3 不動産取得税
 4 登録免許税
 5 消 費 税
 6 印 紙 税
 7 住民税均等割及び事業税資本割
 8 相続税及び贈与税
第2節 組織再編税制の基礎知識
 1 概 要
 2  税制適格要件
 3  繰越欠損金と特定資産譲渡等損失額
 4  資産調整勘定と負債調整勘定
 5  譲渡損益の繰延べ
 6 株主課税
 7 完全子会社の清算における繰越欠損金の引継ぎ
第3節 清算税制の基礎知識
 1 みなし事業年度
 2  特例欠損金
第4節 子会社支援税制の基礎知識
 1 子会社(完全子会社を除く)に対する支援
 2  完全子会社に対する支援
第5節 連結納税制度の基礎知識
 1 連結納税制度の適用範囲
 2  連結納税の申告・納付
 3  住民税及び事業税の取扱い
 4  連結納税制度の開始・加入
 5  連結納税制度の取止め・離脱
 6 グループ通算制度
第6節 事業承継税制の基礎知識
 1 制度の概要
 2  非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度
 3  非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度

第3章 M&Aにおける失敗事例
第1節 税制適格要件
 1 支配関係継続要件
 2  合弁会社の設立
 3  持株会社との株式交換における事業関連性要件の判定
 4  持株会社との株式交換における事業規模要件の判定
 5  単独株式移転84
 6 持株会社のスクイーズアウト
 7 スクイーズアウト後の株式譲渡
第2節 繰越欠損金
 1  合併法人に対して繰越欠損金の使用制限及び特定保有資産譲渡等損失額の損金不算入が課されるのを失念していた事例
 2  分社型分割+株式譲渡によるM&Aと適格合併
 3  合併前の事業移転
 4  資産管理会社であることにより繰越欠損金の制限が課された事例
 5  みなし共同事業要件を満たしても繰越欠損金の制限が課された事例
第3節 その他の失敗事例
 1  事業の転売
 2  株式を取得した後の配当
 3  分割型分割後の株式譲渡
 4  第三者割当増資+分割型分割+株式譲渡
 5  分割型分割+株式譲渡
 6 特定同族会社等の留保金課税
 7 大法人と繰越欠損金
 8 特別税額控除
第4節 組織再編税制以外の制度における失敗事例
 1  連結納税制度の再加入制限
 2  連結子法人株式の帳簿価額修正
 3  事業承継税制を適用した後のM&A
第5節 法人税以外の税金
 1  住民税均等割及び事業税資本割
 2  仕入税額控除
 3  不動産取得税
 4  連帯納付責任
 5  第二次納税義務
第4章 組織再編成における失敗事例
第1節 税制適格要件
 1  無対価組織再編成
 2  一般社団法人
 3  株式と出資の違い
 4  分割後に資本関係が変わる場合
 5  個人から法人への現物出資
 6 法人から個人への現物分配
 7 組織再編成後の従業者の転籍
 8 組織再編成後の会社分割
 9 種類株式発行会社の非按分型分割
   持分会社の非按分型分割
   分社型分割と株式継続保有要件
   単独株式移転後の親族への譲渡
   完全支配関係内のスクイーズアウト
第2節 繰越欠損金
 1  被合併法人の確定申告書に係る提出期限
 2  支配関係発生日から5年を経過している場合とは
 3  繰越欠損金が生じてから9年が経過してしまった事例
 4  新設法人の特例
 5  合併契約日から合併の日までの売上金額及び従業者の数の変動
 6  合併前に生じた譲渡等損失額に対して、特定資産譲渡等損失額の損金不算入が課された事例
 7  法人税基本通達9-4-1の要件を満たしたのに、損金の額に算入できなかった事例
 8 資本的支出が特定資産に該当した事例
 9 別表五㈠に加算留保項目がある場合
   連結納税開始前の適格株式移転
第3節 課税所得の計算
 1  適格組織再編成なのに課税所得が発生する事例
 2  分割法人で損失が発生し、分割承継法人で利益が発生した事例
 3  分社型分割による持株会社化
 4  DESによる失敗
 5  疑似DESによる失敗
 6 創設債務の発生
 7 適格分社型分割後の株式譲渡
 8 被合併法人株式に係る譲渡損益の実現
 9 被合併法人又は分割法人の株主におけるみなし配当課税
   株式を買い集めた後の清算
   分割法人を債務超過にする分割型分割を行った後に分割法人を解散する場合
第4節 税額の計算
 1  株式移転後の配当
 2  適格組織再編成後の配当
第5節 法人税以外の税金
 1  適格合併と住民税均等割
 2  適格分社型分割と住民税均等割
 3  事業承継税制適用後の組織再編成
第6節 その他
 1  届出書の提出漏れで青色申告事業者になれなかった事例
 2  届出書の提出漏れで減価償却ができなかった事例

第5章 グループ法人税制における失敗事例
第1節 少額資産は譲渡損益が繰り延べられない
第2節 グループ内の事業譲渡
第3節 個人による完全支配関係がある場合
第4節 寄附修正事由
第5節 贈与+株式譲渡
第6節 受贈益と特定同族会社等の留保金課税
第7節 無償取引と消費税
第8節 無償取引+合併又は清算

第6章 その他の資本等取引における失敗事例
第1節  無償減資のスキームからスクイーズアウトに変えてしまった事例
第2節  増資により中小法人の特例を受けることができなくなった事例
第3節  増資と自己株式の取得の順番を間違えてしまった事例
 1  基本的な取扱い
 2  失敗事例
 3  租税回避事例
第4節 自己株式の低廉取得
 1  時価で自己株式を取得した場合
 2  時価よりも安い価額で自己株式を取得した場合
第5節  無償減資又は資本準備金の取崩しが間に合わなかった事例
第6節 持分会社の欠損填補
第7節 持分会社の解散

ISBN:9784539728246
出版社:日本法令
判型:A5
ページ数:288ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2021年06月
発売日:2021年06月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJ