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日経ビジネス人文庫

気がつけば被告? イライラ社会の法律トラブル

著:山田 薫

紙版

内容紹介

本書は、日経新聞の裁判担当記者が、「心のアンテナ」に触れた無名の判決を紹介する日経電子版の好評連載「法廷ものがたり」(全40回)を書籍化するもの。サラリーマンの悲哀を感じさせる仕事絡みの話から、近所のもめ事、相続や年金をめぐるトラブルまで、裁判記録には人生に関わる興味深いストーリーがたくさん埋もれています。連載時の三コマ漫画も掲載し、身近に潜むリスクの恐ろしさ、人生の悲哀をユーモラスに解説します。

 以下のような「裁判は小説よりも奇なり」を地で行くエピソードが満載。この事件の判決はいかに?
■看取ったのは妻でなく元妻、遺族年金の行方
 妻と長く別居中だった80代の元自治体職員の男性が、12年余りの闘病生活の末に亡くなった。男性にとって、10歳以上若いこの妻との結婚は4度目だったが、関係はすでに冷え切っていた。最期を看取ったのは、戸籍上の妻ではなく、20年前に離婚した70代の元妻だった。
■パワハラ訴訟で発覚、勝訴企業の不都合な「工作」
 上司のパワハラで休職に追い込まれたとして、大手上場企業でインターネット関係の仕事をしていた元社員が訴えを起こした。一審判決は請求の大半を退け、二審判決は「パワハラはなかった」と全面的に否定した。しかし、完勝した会社側も素直には喜べなかったに違いない。判決文には、会社にとって不都合な事実が記載されていた……。

目次



Ⅰ 人も歩けば裁判に当たる
暴発した鬱憤、電車内のケンカの代償は
スノボ事故、ケガさせた相手はエリート医師
接触事故の女子高生、「大丈夫」のはずが…
隣人トラブル、枯れていく草木
ホームヘルパー、悪意の暴露ブログ
搭乗拒否、許されなかった一言
SNSが招いた退学処分、保育士の卵の誤算
末期がんの父、娘がすがった「自然療法」

Ⅱ 非のないところにも訴訟は起きる
「バイトに手出した」と無根の噂から会社人生暗転
営業のエース、暴かれた裏金「会計黙認」主張通らず
パワハラ訴訟で発覚、勝訴企業の不都合な「工作」
忘年会後の悲劇 労災認定、無情の線引き
納会で泥酔、急死の男性は労災か
偽装労災? 労働局員は見た
切られたコンサル契約、相続対策深入りの末に……
倒れた夫、労災基準に挑んだ妻の闘い

Ⅲ 親しき仲にも訴訟あり
看取ったのは妻ではなく元妻、遺族年金の行方は
婚約者が浮気 慰謝料額、夫婦の場合とどう違う?
「終活」のミス、書き間違えた遺言の行方
8年後に出てきた遺言書、「争族」の決着は?
家族が虐待? 行政が施設で母親を「保護」
高原の別荘地、自治会、泥沼の内紛
中古マンション売買、苦い後味
「がん隠した」、生保が支払い拒否 その真相

Ⅳ 親の訴え子知らず
中学受験前に体育でケガ 母親の無念
熱血校長の通じなかったジョーク 不登校の理由は……
小学生女児、いじめとケンカの境界は
「国内留学」ステイ先に日本人 契約違反に問えるか
就職目前、親知らずの手術で舌に障害
ペットホテルで愛犬が大ケガ、飼い主が越えた一線
不妊治療のサプリ代、確定申告で認められるか

Ⅴ 訴訟は小説より奇なり
消える在庫商品、従業員と神経戦の末に
倉庫全焼で保険金請求 不可解な事実が示すのは……
中古車の隠れた「過去」、転売後に発覚
アイドルからメール、サクラ商法の冷徹な実態
年金加入の空白、一時金を受け取ったのは?
塞がれた「眺望」、大通り沿いの店舗物件
アンゴラ内戦の闘士、はるか日本で難民申請
1951年中国生まれ、女性が背負った「戦争」
提訴乱発ついに75件、「不当訴訟」と逆提訴

著者略歴

著:山田 薫
日本経済新聞秋田支局長
1979年生まれ、2004年日本経済新聞社入社。流通経済部(現企業報道部)、宇都宮支局を経て、東京社会部で国税や司法(検察・裁判)を担当。2016年より現職。

ISBN:9784532198015
出版社:日本経済新聞出版社
判型:文庫
ページ数:272ページ
定価:780円(本体)
発行年月日:2016年08月
発売日:2016年08月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LNAA