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河井継之助

近代日本を先取りした改革者

著:安藤 優一郎

紙版

内容紹介

民は国の本 吏は民の雇
武士の時代の終わりを見通し、財政・藩政の立て直しと近代化に生涯を捧げた男。
「幕末の風雲児」のもう一つの顔に迫る。

◆越後の英雄のもう一つの素顔
河井継之助というと、戊辰戦争で新政府軍相手に善戦しつつも非業の死を遂げた悲劇の武士というイメージが強い。司馬遼太郎の歴史小説『峠』で好漢として描かれたことにより今なお人気も高い人物であり、彼を取り上げたノンフィクション、フィクションも数多出版されている。しかし実は、戊辰戦争に至るまでのその人生はほとんど知られていない。
河井は「維新の三傑」西郷・大久保・木戸のように、京都を舞台に政治活動に奔走したわけでも、坂本龍馬のように、脱藩して活動の場を広げることもなかった。権力闘争に狂奔する中央政界の動向からは距離を置き、あくまでも長岡藩にとどまったうえで、欧米列強を模範にその富国強兵に邁進した。一言で言うと近代化である。

◆未来を見越し近代化に尽くしたその生涯を描く
継之助の人生は、いわば長岡藩の官僚として財政そして藩政を立て直すことに捧げられた。来るべき近代日本を見通し、その魁の役割を長岡藩に担わせようとした。西洋の事情に通じた開明派藩士で、明治政府の近代化政策を先取りした人物だった。
本書は、幕末の解説で定評ある筆者が、明治維新、つまり河井継之助没後150年を迎えるに際し、戊辰戦争と結び付けられがちな河井の生涯を読み直すことで、その歴史的役割を解き明かすもの。時代の変わり目、財政の立て直し、官と民のあり方など、その目指したものは、今日の日本にとっても大いに参考にすべきものがある。

目次

プロローグ 河井継之助が目指したもの

1 越後長岡藩に生まれる――大望を抱く

2 生涯の師に出会う――諸国を遍歴する
  
3 藩主牧野忠恭の信任を得る――国政に背を向ける

4 藩政改革に取り掛かる――経論の才を発揮する

5 動乱の地京都へ――火中の栗を拾う

6 藩政のトップに立つ――危機が迫る

7 総督として政府軍を迎え撃つ――判断を誤る

8 その後の長岡藩――相反する評価

エピローグ 河井継之助とは何だったのか

著者略歴

著:安藤 優一郎
歴史研究者(日本近世政治史・経済史専攻)
1965年千葉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院文学研究科博士後期過程満期退学。文学博士(早稲田大学)。大学の生涯学習講座の講師のほか、JR東日本「おとなの休日」倶楽部のナビゲーターとして旅好きの中高年の人気を集め、NHKラジオ深夜便などでも活躍。著書に『西郷隆盛と勝海舟』『幕末維新 消された歴史』『島津久光の明治維新』『幕末維新の「不都合な真実」』『相続の日本史』ほか多数。

ISBN:9784532176327
出版社:日本経済新聞出版社
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2018年03月
発売日:2018年03月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNB