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中国の経済改革

歴史と外国に学ぶ方法論

編著:魏 加寧
編著:王 瑩瑩
他訳:関 志雄

紙版

内容紹介

■中国政府内部のシンクタンク研究者が、習近平政権も含めて、鄧小平の後継者たちによる従来の改革の進め方を批判し、改革成功に向けた包括的な提案を行っている点で大変注目すべき研究です。読者は、鄧小平の推進した「改革開放」政策以降の経済改革の実態が理解でき、また、推進組織の縦割りの弊害など、習近平政権による改革がなぜ遅れているのかも知ることができます。
■鄧小平が構想し、趙紫陽が具体化した中国の経済改革は、成長率の鈍化とともに大きな壁にぶつかっています。本書は、これまでの緩慢・慎重な改革、政府主導のキャンペーン型改革モデルではなく、市場経済をベースとした明確な改革目標の設定に舵を切るべきだと説きます。官僚主義の弊害を打破し、強力な改革のデザイン、調整を進める実行力の強化、改革をめぐる開かれた活発な論争のもとで経済構造の変革を進める必要があると主張します。
■本書は、中国の歴史上の主要な改革や欧米、旧ソ連の改革からの教訓を導き出しています。戦国時代の商鞅、北宋時代の王安石、明の時代の張居正が主導した改革、清末の戊戌変法、新政までの五大改革について取り上げ、既得権益層との闘い、人材育成、環境変化に応じた改革目標の調整などの困難を乗り越えられなかったと指摘(ほとんどが失敗)。同時に、戦後の台湾の改革を成功事例として取り上げている点が注目されます。また、市場主義にもとづく改革を進めたサッチャー・レーガン政権を成功例、旧ソ連の崩壊をもたらしたゴルバチョフ改革を失敗例とし、それぞれの成否を分けた要因を検証しています。
■著者たちは古今東西の改革の経験から、改革方法論の重要性、指導者のリーダーシップ、国民の合意、指導者の魅力・力量、政府と市場、国有企業と民間企業、政府と国民、国と地方との関係の調整、理論・世論・組織・人材・方策の準備の必要性を指摘。それをもとに現代中国の改革を総括し、これらの要素が今後の改革成功には不可欠だとします。著者たちの改革への熱意と視点の高さがうかがえる注目の書です。

目次

 第1部 改革方法論の研究:古今東西の代表的改革
第1章 改革方法論に関係する理論

第2章 中国史における6つの重要改革

第3章 1980年代の世界主要国の改革

第4章 古今東西の典型的改革事例の方法論探究
 
 第2部 新段階における改革の全面的深化の推進方式に関する研究
第5章 1978年以来の中国改革開放の経験

第6章 2003~2012年の中国 改革減速の原因

第7章 新段階の改革の現状評価
 
第8章 改革の全面的深化という努力目標の意味

第9章 新段階における改革の全面的深化の5つの基本的な関係の調和
 
第10章 新段階における改革の全面的深化の推進方式

第11章 新段階における改革の全面的深化の推進メカニズム
 
第12章 新段階における改革の全面的深化に関連する仕組み

テーマ報告 全面的深化の段階における改革の方法

著者略歴

編著:魏 加寧
国務院発展研究センター・マクロ経済研究部上席研究員
1983年中国人民大学卒業、中国社会科学院を経て1985年に国務院発展研究センターへ。2013年より現職。この間、アジア経済研究所、東京大学、日本興業銀行の客員研究員を務める。
編著:王 瑩瑩
国務院発展研究センター・マクロ研究部第四研究室副室長
ハルビン工業大学経済学修士(国際経済専攻)。華為技術を経て、2009年に国務院発展研究センターへ。
他訳:関 志雄
監訳者

ISBN:9784532134952
出版社:日経BP 日本経済新聞出版本部
判型:A5
ページ数:512ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2020年07月
発売日:2020年07月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCZ