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講座 精神疾患の臨床

神経認知障害群 第5巻

編:池田 学
編:神庭重信
編:松下正明

紙版

内容紹介

認知症学は進歩が目覚ましい。認知症を含む神経認知障害群では,最新の国際診断基準が時差なくICD-11の診断要件などに取り込まれ,病態解明や診断のためのバイオマーカー開発なども急速に進んでいる.また2019年に策定された「認知症施策推進大綱」においては「認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会を目指し認知症の人や家族の視点を重視しながら共生と予防を車の車輪として施策が推進されること」を掲げており、今後もその研究や診療成果の躍進に目が離せない。本書はそれら最も新しい知見の解説ならびに認知症医療にさまざまな立場から参画する際の手がかりとなる情報を提供している.「認知症と社会」の章にて認知症者の人権、老人偏見・差別と虐待、認知症と自動車運転等に「認知症の治療」の章と同様なボリュームで多くの解説を割いているのは本書の特長。
また,ICD-11より大きな変更があった「統合失調症又は他の一次性精神症群」の解説も盛り込まれている.

目次

1章 概念・疫学
認知症の概念と分類の歴史
疾病概念と分類の歴史
せん妄
軽度認知障害(MCI)
健忘症
老年精神医学における操作的診断基準の功罪
認知症と軽度認知障害の疫学
若年性認知症の疫学と生活実態
Topics 急増する独居認知症—social isolationとlonelinessの視点もまじえて

2章 認知症の診断
認知症の国際診断基準分類
ICD–11と国際診断基準
アルツハイマー病による認知症
脳血管障害による認知症
レビー小体病による認知症
前頭側頭型認知症
バイオマーカー
脳脊髄液・血液バイオマーカ
形態画像バイオマーカー
機能画像バイオマーカー
Topics DLBのバイオマーカー
Topics 認知症と炎症
Topics 認知症と神経伝播

3章 認知症の症候学
アルツハイマー病による認知症
脳血管障害による認知症
レビー小体病による認知症
前頭側頭型認知症
精神作用物質(医薬品を含む)による認知症
パーキンソン病による認知症(PDD)
進行性核上性麻痺(PSP)による認知症と大脳皮質基底核変性症(CBD)による認知症
ヒト免疫不全ウイルスによる認知症と神経梅毒による認知症
頭部外傷による認知症
慢性硬膜下血腫とiNPH(特発性正常圧水頭症)
Topics Diogenes症候群

4章 認知症の鑑別診断
認知症と老年期うつ病
認知症と老年期幻覚・妄想症(サイコーシス)
認知症とてんかん
認知症と神経発達症
薬剤性認知機能低下
Topics 認知症と糖尿病

5章 認知症の治療
認知症疾患診療ガイドライン
作業療法
音楽療法
Topics 認知症患者の家族介護者に対する心理療法
精神療法
IoT
Topics 神経心理検査
薬物療法
抗認知症薬
疾患修飾薬
Topics iPS細胞による抗認知症薬の開発
抗精神病薬
Topics 遠隔医療

6章 認知症と社会
認知症者と人権
老人偏見・差別(Ageism)と老人虐待
Topics 高齢者の意思決定
Topics 人生の最終段階における医療とケア
—人工的水分・栄養補給法の問題を題材に
認知症施策
Topics 世界の認知症施策
Topics 認知症疾患医療センターを中心とした認知症診療
Topics 認知症初期集中支援チーム
Topics 認知症神戸モデル
認知症と自動車運転
介護負担感
Topics 若年性認知症の家族の会活動と役割
Topics DLBサポートネットワーク
Topics 認知症の啓発—地域の図書館利用
Topics ブレインバンク
認知症の医療人類学—希望の再構築に向けて

7章 ICD–11 における統合失調症以外の一次性精神症群
統合失調感情症
統合失調型症
急性一過性精神症
妄想症
物質誘発性精神症と他の医学的疾患による精神症群
カタトニアの位置付け

著者略歴

編:池田 学
担当編集:池田 学(大阪大学教授)
編:神庭重信
編集主幹:神庭重信(九州大学名誉教授)
編:松下正明
監修:松下正明(東京大学名誉教授)

ISBN:9784521748252
出版社:中山書店
判型:B5
ページ数:584ページ
定価:16000円(本体)
発行年月日:2023年05月
発売日:2023年05月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ