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古代中国の語り物と説話集

著:高橋 稔

紙版

内容紹介

六朝時代以前の古い語り物の例として、荊軻の始皇暗殺の物語や、「連理の枝」につながる引き裂かれた夫婦の話などを翻訳。原文も掲載し、語りのリズムの痕跡を追究する。また、「捜神記」や「幽明録」といった「志怪小説」の生みの親「列異伝」の逸文50種を翻訳収録。出世を予知する「産神問答」やタブーを知って妖怪を退治する話の型などを掘り下げ、志怪小説と語り物が相互に与えた影響を見る。最後に、六朝志怪から唐代伝奇まで、あらゆる話を集めた「太平広記」と比較することで「列異伝」の特徴を考察する。

目次


第一章 古代中国の語り物三種
 一、本章の読み方について一言
 二、中国最古の語り物
    ──春秋時代に語られた歴史語り──
    ──箴諫の文体例──
 三、司馬遷の聞いた語り物
    ──刺客荊軻の始皇暗殺の物語「燕丹子」──
 四、散文スタイルの語り物と韻文スタイルの語り物 ──語る物と歌う物──
 五、不幸に死んだ夫婦の物語
    ──古詩無名人焦仲卿の妻のために作る──
    ──偶然出会った稀有な出来事をそのまま伝える語り物──
第二章 志怪の生みの親となった「列異伝」
 一、「列異伝」の逸文五〇種の主題について
 二、六朝志怪の文体と伝説の記し方について
 三、「列異伝」の逸文に残された話に見る序破急の三段構成について
 四、「列異伝」の逸文から読み取れる話
   (一)神との交わり
   (二)祠廟の由来
   (三)冥界との交流
   (四)鬼(幽霊)との交わり
   (五)妖怪の話
   (六)自然にできた珍しいものの話
   (七)方士伝説
   (八)人間の不思議
 五、産神問答(産屋の神様)の話について
 六、妖怪退治とタブー
 七、志怪と語り物との関係について ──比翼相思樹伝説の場合──
第三章 隋唐代における語り物と小説との関係
 一、推薦制度の弊害と科挙の実施について
 二、初唐期の小説と語り物
 三、唐代伝奇と語り物
 四、才子佳人の物語と詩歌
 五、唐代伝奇と「太平広記」
 六、話ばかりを集めた類書「太平広記」
 七、「列異伝」と「太平広記」

関連年表 / 図版出典一覧 / 六朝説話集関係地名所在地

ISBN:9784497217141
出版社:東方書店
判型:A5
ページ数:232ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2017年11月
発売日:2017年11月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC