日本のものづくりの底力
編:藤本 隆宏
編:新宅 純二郎
編:青島 矢一
内容紹介
日本の現場の暗黒時代は終わるだろう。今は夜明け前だ!
「では、今後の20年の展望はどうか。さまざまな競争力ファクターの長期趨勢から考えて、1990年代から続いた国内現場にとっての「暗黒の時代」は終わりつつあると筆者は見る。少なくとも能力構築を諦めない優良現場にとって、次の20年は、過去20年よりは明るい時代になると予想する。すなわち、いまは「夜明け前」の状況と筆者は考える。」(本文より)
エレクトロニクスをはじめとする、日本のものづくりの退潮が言われて久しい。本当に日本の製造業は衰退の道をたどるだけなのか、再び国際競争力を取り戻す道はあるのか。ものづくり現場を知り尽くした論客が一堂に会して、現場の生の情報や客観的データ分析をもとに、独自の視点から日本の競争力の現状を認識し問題点を分析する。
経営者には、論理なき悲観論で思考停止するのではなく、冷徹な危機感の下で自ら分析することの必要性を説き、ビジネスパーソンには、浅慮な悲観論、安易な擁護論を払拭させる論旨を展開する。
主な執筆者:
藤本隆宏(東京大学教授)、新宅純二郎(東京大学教授)、青島矢一(一橋大学教授)、小池和男(法政大学名誉教授)、中沢孝夫(経済評論家)、延岡健太郎(一橋大学教授)、軽部大(一橋大学准教授)、奥野正寛(東京大学名誉教授)、西村清彦(東京大学教授)、ほか。
目次
第Ⅰ部 ものづくり現場力の歴史的起源
第1章 戦後70年の歴史から考える 日本のものづくり──2030年への展望(藤本隆宏)
第2章 高業績職場と人材の真の力(小池和男)
第3章 鐘紡・武藤山治の工程遡り調査──前工程重視の工程間の「流れ」思想(桑原哲也・芦田尚道)
第Ⅱ部 グローバル競争への対応
第4章 日本企業の海外生産を支える産業財輸出と深層の現地化(新宅純二郎・大木清弘)
第5章 東アジアに広がる中小企業とものづくりの仕組み(中沢孝夫)
第Ⅲ部 複雑化への対応
第6章 日本企業の価値づくりにおける複雑性の陥穽(延岡健太郎・軽部 大)
第7章 人工物の複雑化と製品アーキテクチャ(奥野正寛・瀧澤弘和)
第Ⅳ部 政府と金融機関のあり方
第8章 市場の自然淘汰は機能しているか──1990年代の日本経済からの教訓(西村清彦・中島隆信・清田耕造)
第9章 環境、エネルギー、産業競争力の両立を考える──ミクロの視点の重要性(青島矢一)