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道徳科授業づくりオムニバス

著:田沼茂紀

紙版

内容紹介

明日からやってみたくなる道徳科授業が必ず見つかる!
本書の概要
日本道徳教育学会神奈川支部の執筆陣が、自由な発想で柔軟につくりあげる道徳科授業の具体をつまびらかにする1冊。本音で語り合える授業、温かい学級をつくる授業、ローテーション授業など、さまざまな切り口から、子どもたちの学びを充実する多彩な考え方と方法を収録。
本書からわかること
授業づくりの自由な発想をもてる
平素の学級づくりなどにおいては、「誰に対しても優しくて思いやりがある」「困っている友達を助け、仲間を大事にできる」「人の悲しみに共感できる」子どもたちを育てたいと、さまざまな発想や方法を取り入れ、柔軟に子どもたちの指導に当たっているはずです。
それに対して、道徳科授業においては、下記のような「してはいけない縛り」があると言われます。それでは、授業づくりの可能性は狭められてしまうでしょう。

●特定の道徳的価値を、教師が伝えてはいけない。
●道徳的問題に対して、合意形成を図ってはいけない。
●授業の冒頭で教材文(全文)を範読せずに授業を開始してはいけない。
●道徳科授業は1時間完結で子どもたちが道徳的価値に気づかないといけない。
●道徳科授業は学級担任以外が行ってはいけない。

 道徳科授業においても、(ある意味では学級づくりと同じように)教師の自由な発想で柔軟に授業をつくってこそ、子どもたちの学びをよりよくすると言えます。

本書はオムニバスです
どこから読んでも差し支えありません。まずは目次をご覧いただき、ご自身が「この切り口はおもしろそうだ」と思える実践からお読みください。明日からやってみたくなる授業がきっと見つかるはずです。本書が、先生方の悩みを打ち消して、自由な発想で道徳科授業づくりを行う一助となることを祈っています。

先生方の悩みに寄り添う
道徳科授業に対しては、下記に記す悩みをおもちの先生方は多いと聞きます。
本書に登場する執筆陣もそんな悩みに向き合ってきた教師です。経験年数も、学校段階も、受けもつ子どもの状況もそれぞれですが、自分自身の抱える悩みを解消すべくさまざまなチャレンジを通して生まれた実践を収録しているのが本書です。

あえて一つのテーマ(たとえば「個別最適な学び」といった特定の教育課題)に絞らず、「学級経営」「単元化」「教材」「特別支援」「指導観」などといった多様な切り口から道徳科授業づくりの可能性を提案するのが、本書最大の特徴です。

こんな悩みをもつ先生方におすすめ
●子ども中心の「考え、議論する道徳」を実現したいのだけれど、子どもの考えがなかなか深まらずに困っている。
●学級のどの子も輝く道徳科授業にしたいのだけれど、一部の発言力のある子どもばかりが目立ってしまう。
●道徳科授業と学級経営、各教科等をしっかりと関連づけたいのだけれど、具体的な手立てが思いつかない。

目次

道徳科授業づくり 16のサジェスチョン

No.01 「道徳」クラスで道徳性を学ぶ力アップ
1 学級指導と道徳教育から生じるズレ
2 教育活動全般を一貫して道徳教育を充実する
3 「道徳クラス」でモラルラーニング・スキルを育む
4 学び方をもって学習に参加する

No.02 失敗から学ぶ授業づくりのポイント
1 なぜ失敗から学ぶことが重要なのか
2 失敗から見えてくる道徳科授業の特性
3 道徳つまずきあるある(1)
4 道徳つまずきあるある(2)
5 道徳つまずきあるある(3)

No.03 道徳科授業で単元を組む
1 子どもが主体的になるとき
2 特別活動を関連づけた道徳科授業
3 道徳科の授業(3時間構成)
4 自分の目標決め(15分)
5 キャンプの後の振り返り(15分)
6 子どもたちが主体的に学習に取り組む姿

No.04 考え、議論する道徳の授業がどんどん楽しくなる教師のメンタリティー
1 「考え、議論する道徳」とは?
2 最初に臨む心構え
3 グループワーク
4 教材研究を楽しむ

No.05 私と道徳科授業の変容とこれから
1 私自身の授業スタイルの変容
2 現在の道徳科授業で考えていること
3 これからの自分の道徳科授業

No.06 障害の有無にかかわらず、道徳的学びを充実する
1 通常級の担任としての道徳科授業
2 個別支援学級の担任としての道徳科授業

No.07 本音で語れる道徳科授業を実現する教育環境づくり
1 子どもは本音で語っているの?
2 本音で語れる学級とは?
3 [本音で語れる教育環境づくり①]学級経営
4 [本音で語れる教育環境づくり②]道徳科授業
5 隠れた本音を見取る目をもって

No.08 生徒を生かす「道徳科授業」のために大切にしていること
1 立場の異なる意見を見逃さない
2 「道徳科授業」は学級経営の一部である
3 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育
4 ローテーション道徳の導入
5 特別支援学級における道徳科授業

No.09 「深い学び」を実現する道徳科授業づくり
1 道徳科における「深い学び」
2 「深い学び」を得る授業の手立て
3 「共通解」と「納得解」
4 45分間を貫く学習課題
5 子どもたちを取り巻く環境と連動した学び

No.10 感動的な教材を10分で提示し、道徳的実践意欲と態度を育てよう
1 教科化から5年
2 なぜ、人物教材なのか
3 教科として、どんな人物をどのように取り上げ、いかに提示すればよいか
4 授業実践例「羽生結弦選手の北京オリンピック」

No.11 特別支援学級における道徳科授業アップデート
1 学校現場における道徳教育の課題
2 授業の実際
3 けんたさんが輝ける瞬間を探して
4 若い教師から教えられた私が大切にしたいマインド

No.12 「ローテーション授業」で道徳科授業のさらなる活性化を図る
1 「ローテーション授業」とは何か
2 「ローテーション授業」に対する考察
3 「ローテーション授業」の効果的な導入方法

No.13 子どもが安心して自分を語れる道徳科授業づくり
1 道徳科授業を通して感じた子どもの困り感
2 [実践Ⅰ]表現活動のつまずきへの手立て
3 [実践Ⅱ]授業参加のつまずきへの手立て

No.14 子ども一人一人の学びに光を当てる授業づくり
1 子どもを集団として見てしまうリスク
2 自分自身の授業に対する問いと危機感
3 自分自身の課題を解決するために必要なことは何か
4 課題解決に向かってどのようなチャレンジをしているか
5 子どもの学ぶ力を信じる

No.15 ナラティヴ・アプローチを援用した道徳科授業
1 目の前に立ちはだかった大きな問い
2 学びと言動を結びつける自分物語を紡ぐ
3 ナラティヴ・アプローチを援用した道徳科授業
4 [実践紹介]5つのステップを通したAさんの学び
5 指導観、指導方法の変化

No.16 未来の道徳科授業をつくる
1 児童・生徒一人一人の道徳性を把握する重要性
2 光るワッペン
3 一人一人の先生方の個性を生かした道徳授業を支援する

[エピローグ]「心磨き」と「心育て」ができる道徳科授業をつくる
道徳科の合言葉は「学び合い・高め合い・育ち合い」
育むべき道徳性を具現化する教材と指導法
道徳的価値理解の先にあるモラルラーニング・スキル
道徳科授業づくりの第一歩は個別な「問い探し」の受容
個別最適な学びを実現する協同・共創の学級風土

著者略歴

著:田沼茂紀
國學院大學教授
新潟県生まれ。上越教育大学大学院学校教育研究科修了。國學院大學人間開発学部初等教育学科教授。専攻は道徳教育学、教育カリキュラム論。
川崎市公立学校教諭を経て、高知大学教育学部助教授、同学部教授、同学部附属教育実践総合センター長。2009年より國學院大學人間開発学部教授。同学部長を経て現職。日本道徳教育学会理事、日本道徳教育方法学会理事、日本道徳教育学会神奈川支部長。

ISBN:9784491050690
出版社:東洋館出版社
判型:4-6
ページ数:216ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2022年12月
発売日:2022年12月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNT
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JNU
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:JNW