人的環境のユニバーサルデザイン
他著:阿部 利彦
他著:赤坂 真二
他著:川上 康則
内容紹介
「『気になる子』を気にしすぎる子ども」
「友だちを傷つける子ども」
「愛着に課題がある子ども」
「険悪な関係の子ども」
「何らかの配慮が必要な子ども」
など・・・どのクラスにもこのような子どもたちはいると思われます。
しかし、この子どもたちに教師がケアをせずにいると
次第にクラスは荒れ、いじめが起きやすくなり、
学級崩壊へとつながるかも知れません。
そのような子どもたちも含め、クラス全員が安心して学べる場をつくる。
これが「人的環境のユニバーサルデザイン」です。
本書では、子どもたちの心理や置かれた環境から行動の原因をさぐり、
さまざまな事例を踏まえ、具体的な手立てを解説します。
執筆陣は、ユニバーサルデザイン・学級経営・特別支援教育の日本を代表するエキスパート
阿部利彦(星槎大学大学院教育実践研究科教授)
赤坂真二(上越教育大学教職大学院教授)
川上康則(東京都立矢口特別支援学校主任教諭)
松久眞実(桃山学院教育大学教育学部教授)
目次
【総論】人的環境のユニバーサルデザインとは? 阿部利彦 7
1 教育のユニバーサルデザイン 8
2 教育のユニバーサルデザインにおける三つの構成要素 10
3 安心して学ぶことができる場を 12
4 わからないこと、できないことに正直になれる場を 13
5 間違いから学ぶことのできる場を 15
6 共感のつぶやきを大事に 17
7 援助を求めることのできる場を 19
8 集団肯定感のある場を 21
【第1章】 きっかけをつかむ 阿部利彦 23
1 クラスで気になる子を「気にし過ぎる子」の存在 24
2 気にし過ぎる子は、なぜ気になる子に近づくのか 26
3 気になる子は、なぜ気にし過ぎる子に近づくのか 27
4 気になる子を気にし過ぎる子どもたちの背景 29
5「気にし過ぎる子」たちへのタイプ別対応 32
①問題行動を真似する子(模倣犯タイプ)
②わざと刺激する子(天敵タイプ)
③影でコントロールする子(“影”の司令塔タイプ)
6 気にし過ぎる子たちの共通点とは 44
7 気にし過ぎる子と向き合う人的環境のユニバーサルデザイン化に向けて 46
【第2章】 背景を知る 川上康則 51
1 昨今の学校や子どもたちを取り巻く背景 52
①集中して聞き続けることが難しくなってきている
②社会の変化が招いた「対人関係の希薄さ」
③トラブルから学ばせる」ことに対する親の理解の変化
④いじめや排除につながりやすい心理的な側面
⑤いじめを深刻化させる「四層構造」
⑥いじめや学級の荒れは、簡単には減らせない
⑦職員室内のハラスメントやいじめの撲滅から
2「人的環境のUD」の最優先課題は、「教師のあり方」 71
①よい教師は、子どもと共に笑う
②教師本位のルール・ライン・基準を問い直す
③教室に不用意に吹かせている「風」を自覚する
④教師は「感情労働」という認識に立つ
⑤子どもの心に傷を残す〝毒語〟を使わない
⑥安全基地(Secure Base)としての役割を果たす
⑦言葉かけよりも、フィジカルサインを用いる
⑧相手への敬意(リスペクト)を示す
3 授業の腕を磨く 85
①身銭を切って、学び続ける
②子どもたちを惹きつける要素を授業に取り入れる
③聞き続けることの難しさを前提とした一斉指示・全体説明を心がける
④指導スキルを整理し、関わりの中で学ばせる
⑤ファシリテーションの具体的な方法を活用する ①「ペア活動」
⑥ファシリテーションの具体的な方法を活用する ②「ギャラリーウォーク」
4 子どもたちをつなぎ、学級全体を育てる 99
①目標に向かう行動を価値づけする
②学級目標のさらなる活用を考える 学級経営のための五つのステップ
【第3章】 秩序のあるクラスをつくる 松久眞実 109
1 なぜ、崩れているクラスの担任に? 110
2 気持ちを立て直して 113
3 人的環境とは 114
4 4月からの7つの取り組み 119
取組1 静寂の時間の投入
取組2 視覚支援
取組3 言葉を減らす・しゃべり方の工夫
取組4 トークンシステム
取組5 叱る基準の明確化
取組6 褒め続ける
取組7 アイビリーブ
5 崩れ始める6年生 133
6 覚悟を決める 134
7 さいごに 妬みの感情へのアプローチ 139
【第4章】 居心地のよいクラスをつくる 赤坂真二 143
1 教育のユニバーサルデザインと授業のユニバーサルデザイン 144
2 教育のユニバーサルデザインを成り立たせる条件 148
3 人的環境のユニバーサルデザインのイメージ 150
4 具体例で学ぶ人的環境のユニバーサルデザイン化 154
①入学後の不安定感から混乱が見られたクラス
②人を傷つける言動が多く見られたクラス
③「険悪な関係」の子どもたちがいるクラス
執筆者紹介 174
ISBN:9784491039466
。出版社:東洋館出版社
。判型:4-6
。ページ数:176ページ
。定価:1800円(本体)
。発行年月日:2019年11月
。発売日:2019年11月18日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JND。