国語科の力を高めたい!
小学校・中学校 学習用語で深まる国語の授業
実践と用語解説
編:工藤 哲夫
編:中村 和弘
編:片山 守道
内容紹介
「人物像」「象徴」「語り手」 。
国語の学びを深める「学習用語」に出会い、習得し、その概念を活用することで子どもの学びが大きく変わる!
国語科の授業で、子どもたちは多くの言葉を獲得していきます。子どもが学ぶ言葉の種類を、平成29年版学習指導要領解説では、「意味を理解している語句」と「話や文章の中で使いこなせる語句」の二つに分類しています。
本書では、特に実際に使用し活用していく言葉に着目し、その中でも国語の学びを深めることに役に立つと考える用語を「国語科学習用語」として選定しました。
「国語科学習用語」を授業に取り入れることで、どのように学びの姿が変わっていくのか。その様子を15の実践例で丁寧に検証していきます。
例えば、4年生の定番教材の一つである「ごんぎつね」では、「視点」と「語り手」という用語を習得し、活用することで学びを深めることに挑戦しています。「ごんぎつね」の物語としてのおもしろさを味わう授業から、「視点」「語り手」という抽象概念を用いて分析的な読みに子どもたちは挑戦していきます。4年生でも「視点」「語り手」といった用語を活用できるような工夫が、随所にちりばめられています。
また、本書では小学校の実践だけでなく、中学校での実践も掲載しており、「国語科学習用語」を軸にした連続性のある学びの姿があらわれています。「具体」「抽象」や「合意形成」、「象徴」といった抽象度の高い用語を活用した授業づくりのヒントとなるはずです。
子どもが学習用語を活用するには、まずは用語の意味を正しく理解する必要があります。クラス全体で用語の意味を共有する際に使える、「用語解説」も本書には収録しています。この「用語解説」をコピーし、子どもたちがノートに貼り付けるなどして全員が同じ意味で用語を理解することができます。
これからの「主体的・対話的で深い学び」を実現するための、一つの手だてとして「国語科学習用語」を軸にした授業づくりを提案しています。ぜひこの一冊をご活用ください。
目次
もくじ
はじめに
第1章 理論編
1 国語科学習用語の意義と役割
2 新学習指導要領と学習用語
3 国語科学習用語分類表
第2章 実践編
領域 情報の扱い方
小学校 学習用語:順序
なるぞ たんぽぽ はかせ
ー事柄から時間の順序へー(2年生)
小学校 学習用語:理由・事例
ゆめのロボットを考えよう
ー理由や事例を述べることで、説得力のある文章をつくるー(4年生)
小学校 学習用語:比較・分類
三十年後、世の中はどうなってほしいか?
ー意見を聞き合い、比較や分類をして考えを深めようー(6年生)
中学校 学習用語:具体・抽象
事柄を「つなぐ」視点
ー事柄を「つなぐ」ことについて考えるー(3年生)
実践の振り返り
領域 話すこと・聞くこと
小学校 学習用語:メモ
メモリアルな「メモ」の学習
ー自分にぴったりな メモのフォーマットを作ろうー(4年生)
中学校 学習用語:合意形成
「住み続けられるまちづくり」のプランを提案しよう
ー合意形成に向けてのプロセスを学ぶー(3年生)
実践の振り返り
領域 書くこと
小学校 学習用語:引用
情報を活用して、説得力のある意見を発信しよう
ー資料を引用して意見文を書くー(6年生)
中学校 学習用語:随筆
心の風景を言葉にする
ー詩を入口として随筆の書き手となるー(3年生)
実践の振り返り
領域 読むこと(説明文)
小学校 学習用語:キーワード
この段落は、いらない?
ー目的に応じたキーワードを探し、読み解こうー(4年生)
小学校 学習用語:根拠・理由
文章と対話して読もう
ー主張をつくる「根拠」と「理由」の関係を探るー(5年生)
中学校 学習用語:論理
「見る」「見える」とは、どういうことか
ー二つの文章を比較し、筆者の伝えたいことと「論理」の関係を捉えるー(1年生)
実践の振り返り
領域 読むこと(文学)
小学校 学習用語:場面・登場人物
ふたりはどんな気持ちでいるのかな
ー場面を区切り登場人物の気持ちを読むー(1年生)
小学校 学習用語:視点・語り手
ごんの視点・兵十の視点・語りの視点に気付こう
ー登場人物に視点・語り手の視点ー(4年生)
小学校 学習用語:人物像
大造じいさん、別の名は
ー登場人物の人物像を読むー(5年生)
中学校 学習用語:象徴
“あるもの”のもつ「意味」を捉える/“共有される”事柄はなにか
ー“場所”のもつ「意味」や「働き」はどのようなものかー(5年生)
実践の振り返り
第3章 用語解説編
索引
おわりに
編著者一覧