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避けられる戦争

米中危機が招く破滅的な未来

著:ケビン・ラッド
訳:藤原 朝子

紙版

内容紹介

本書は、半世紀にわたって政治家・研究者として中国と深く関わってきた現役外交官でもあるラッド氏が、習近平・中国のイデオロギー的・政治的世界観を徹底分析し、今後米中両国がどのような関係を築くべきか具体的に提言する書である。冷戦終結から30年、ウクライナ戦争、そしてパレスチナ問題が火を噴き、また2024年秋の米大統領選挙の結果次第で世界情勢はさらに混迷するだろう。習近平の野心は国内から世界へと拡がりつつあり、また米国も、ステレオタイプに囚われ中国を正しく理解することができていないなか、米中対立は激しさを増しており、このままでは2030年頃には武力衝突が避けられないとラッド氏は警告する。これは両国に大きなダメージを与えるだけでなく、多くの国や地域を巻き込む世界規模での戦争になる恐れがあることから、ラッド氏は、まずは習近平の世界観を読み解き、そのうえで戦を争回避しよりよい世界秩序を築くための具体的解決策を提示する。中国による台湾侵攻も、米中戦争のきっかけとなりうるとラッド氏は警鐘を鳴らす。日本にとっても多くの示唆を与える貴重な作品である。

目次

1章 米中関係の歴史
2章 不信感という問題
3章 習近平の世界観を理解する
4章 第一の円 権力維持の政治学
5章 第二の円 国家統一の維持
6章 第三の円 経済的繁栄の確保
7章 第四の円 持続可能な経済発展
8章 第五の円 軍の現代化
9章 第六の円 近隣諸国の管理
10章 第七の円 中国の周辺海洋を守る
11章 第八の円 ゴーイングウエスト―― 一帯一路
12章 第九の円 欧州、アフリカ、中南米での影響力拡大と北極への足がかり
13章 第一〇の円 ルールに基づく世界秩序を変える
14章 習近平の中国に対する米国の新しい戦略的対応
15章 習近平の中国の二〇二〇年代
16章 危険な一〇年――米中関係の代替的未来
17章 不透明な未来を乗り越える
18章 エピローグ

著者略歴

著:ケビン・ラッド
元オーストラリア首相。アジア・ソサエティ会長兼CEO、2015年1月よりアジア・ソサエティ政策研究所所長。現駐米オーストラリア大使。
オーストラリア国立大学にて中国研究に携わる。国立台湾師範大学(台北)への留学経験もある。大学卒業後、外交官を経て政治家としてのキャリアを歩む。オーストラリア首相(2007-10年)、外相(2010-12年)、再び首相(2018年)を歴任。中国語に堪能。
訳:藤原 朝子
学習院女子大学非常勤講師。慶應義塾大学卒業。訳書に『米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』(グレアム・アリソン著)、『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀――そして世界の警察はいなくなった』(ブレット・スティーブンズ著、以上ダイヤモンド社)などがある。

ISBN:9784490210972
出版社:東京堂出版
判型:A5
ページ数:464ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS